おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

見田宗介『現代社会はどこに向かうか』:ユートピアは”今ここ”に

大窪善人

 
「社会学(sociologie)」という学問の命名者は、19世紀の思想家、オーギュスト・コントですが、彼の有名なことば、「予見せんがために見る」には、「進歩」や「成長」の名の下に、ダイナミックに変動する”近代”という新しい時代が、一体どこへ向かうのかという切実な問いが込められていました。

それから2世紀後の問いとは、”近代の運動が行き着くところまで行き着いた現代社会が、これからどこへ向かうのか”、ということです。
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堀内進之介『人工知能時代を<善く生きる>技術』


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大窪善人




(1970年01月01日)

 
スマートフォン、スマート家電、自動運転など、人工知能(AI)の発展が目覚ましい。だが、これらの新しい技術は、私たちの生き方にどのような影響を与えるのか、それが本書のテーマです。
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平成とはどういう時代だったのか?


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大窪善人




(1970年01月01日)

 
平成が終る。今月、政府は平成31年4月に天皇の譲位と改元を行うことを決定しました。
それに伴い、メディアでは平成を振り返る特集を組んでいます。ところで、その年表を見て感じたのは、「平成」という時代が、ひとつのまとまりとしてイメージできにくいということです。30年間のさまざまな事件、出来事を並べても、たんなる羅列というか、なんとなくフラットな印象があるのです。
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ヤマザキコレ『魔法使いの嫁』:聖なる儀礼がむすぶ約束


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大窪善人




(1970年01月01日)

 
“儀礼”とは、単なる飾り付けではなく、人と人ととを結びつける連帯の核である。こう主張したのは、フランスの社会学者 E.デュルケームです。
しかし、なぜ儀礼が重要なのでしょうか。

現在、TVアニメ放映中のマンガ『魔法使いの嫁』がヒントになります。
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G・バタイユ『魔法使いの弟子』


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大窪善人




(1970年01月01日)

 
「魔法使いの弟子」は、フランスの作曲家 ポール・デュカスの管弦楽曲。
ある日、雑用を言いつけられた魔法使いの弟子が、師匠のいぬまに水汲みの仕事をさせようと、ほうきに魔法をかける。しかし、見習いは魔法を解く呪文を知らなかったので、部屋はみるみる水であふれて大惨事。そこへ魔法使いが戻ってきて、辛くも救い出された。

バタイユは、恋愛について書いたこの本に〈魔法使いの弟子〉と名づけます。でも、どうしてなのでしょうか?
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大澤真幸『憎悪と愛の哲学』:敵が友になるとき


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大窪善人




(1970年01月01日)

 

愛と憎悪は別のものではない、むしろ、「憎しみがあるからこそ愛がある」。たびたび小説や映画などで描かれるテーマです。むしろ、陳腐と言ってもよいでしょう。が、なぜそうなのか。なぜ、”愛”が正反対の”憎しみ”でもあるのか、理由はよく分かりません。
このパラドックスへの理論的な解答にチャレンジするのが、本書です。
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ジョセフ・ヒース『啓蒙思想 2.0』:意志の弱さをコントロールする知恵

大窪善人

 
フェイク・ニュースがメディアを席巻し、安直なメッセージやポピュリズムなど、真実よりも信じたいフィクションがまかり通る現代。
理性による社会の発展を説く、18世紀以来の「啓蒙のプロジェクト」は、すっかり時代遅れになってしまったのでしょうか。

本書は「理性的に考えろ」といった、ありがちな啓蒙書ではありません。近年の認知科学の発展をふまえて、啓蒙のバージョンアップを図っています。
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マンフレッド・キューン『カント伝』:じつはオシャレだったカント先生

大窪善人


カント伝

春風社(2024年03月01日)

 
カントと言えば、『純粋理性批判』をはじめとした重厚な仕事をはじめ、科学論、美学、政治哲学、宗教論など、今なお影響力のある知の巨人です。
しかし、そんな彼も、はじめから偉大な哲学者であったわけではありません。

本書はカントの伝記。この本を読めば、激動の歴史との格闘から紡ぎ出されるスリリングな思索、権威化される以前の、新鮮なカント像が浮かび上がってきます。
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