名著再見!#01 G・ジンメル『愛の断想/日々の断想』

いいアイデアが出てこないとき、ふと断片的な文章がヒントになることがあります。

本書は、近代社会学の三巨人ウェーバー、デュルケムと並ぶ、ゲオルグ・ジンメルの遺稿集です。ほかの二人に比べて、ジンメルを一言で語るのはさらに難しいのですが、独特の鋭い感性をもった人だったことはたしかです。

ちなみに、邦題にある「断想」をgoogle翻訳にかけると、なぜか”Delusion”「妄想」と出てくるのですが、でも、あながち間違いでないのかもしれません。しかし、短めの格言調の文章には、独特の力強さがあります。

では、その一部を紹介します。

愛が全く独立のもの、超生命的なものになり、生命に背を向け、生命への奉仕に背を向けた後、愛は、愛を知る人において再び一つの生命になる。

愛の断想 §2

哲学者は、万人の知ることを語る人間でなければならない。ところが、万人がただ語ることを知っている人間である場合が多い。

日々の断想 §9

愛を知る人においては、愛は、生殖という目的から完全に解放されている 

愛の断想 §4

愛を知りながら、性を知らない人がいる。イエスがそうであろう 

愛の断想 §21

接吻は、友情と純粋感性という二つの場合に象徴的である。 

愛の断想 §26

芸術と宗教とに共通な点は、その対象を出来るだけ近づけようとして、これを出来るだけ遠ざけるところにある。

日々の断想 §27

一般的なものか個人的なものかという二者択一は、それを超えたところに第三のものがあるような二者択一ではないのか。それを示すものが愛ではないのか。

愛の断想 §33

教育というのは、不完全なのが普通である。その一歩一歩が、解放と束縛という二つの対立する傾向に仕えねばならないから。

日々の断想 §109

二人でいる時の方が孤独である。なぜなら、別々であり、「向き合って」おり、他人であるから。

愛の断想 §35

私たちが認識し、私たちが生き、私たちに与えられている世界と生命との全体、それのみがひとつの断片なのである。

日々の断想 §37

いかがだったでしょうか。紹介した以外にも、琴線に触れる断片が、きっとあると思います。

ほかに、有名な論考「橋と扉」などを収録した『ジンメル・コレクション』もおすすめです。

Text:Yoshio Okubo


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