<第5回 アカデメイアカフェ>
テーマ:「たべるをつくる たべるとくらす ~ダイエットから自給自足まで~」
日程:2012年11月17日(土)14~16時
場所: 京都市左京区下鴨花園町 サクラカフェ



今回のテーマは「食」にまつわるあれこれについて広く考えてみようという趣旨で、食生活と健康についての身近な疑問から、食育、便利で快適な食品生活の功罪など、話題も多岐に渡って展開しました。(ところで、毎日規則正しく三食摂っているという人が多かったのはちょっとした驚きでした。)

しかし、なぜ「食」なのでしょうか? 人は誰しも食べ物を摂ることなしでは生きていけません。その意味では食は人間生活の基本的条件のひとつです。また、それだけでなく人は食材を煮炊きすることで料理を発明したり、独自のアレンジを加えることで多様な食文化や生活様式を発展させてきました。これらは人間の特徴といってもよいでしょう。

考えてみれば、食は話題には事欠かないくらい身近な存在です。たとえば、日本では毎日数えきれないくらい多くの食品が生産・流通しています。また、街を歩けば料理店が目に入らない場所を探す方が難しいくらいです。しかし、その一方で、食中毒や農薬、遺伝子組み換え食品、BSE、食品偽装、放射能汚染の問題などの食の安全や、肥満やメタボリック・シンドローム、ダイエットなどの健康の問題、そして食料自給や世界中の飢餓、食料危機の問題などとも結びついています。

今回の企画では触れることができなかった論点もたくさんありましたが、当日のディスカッションで気づいたのは、食についての話を周囲の人たちとする機会がこれまであまりなかったということです。もちろん、それには一般的な理由が考えられます。一つには、あまりにも身近な問題であるために、話していても気に留めないということもあるでしょう。しかし、もう一つ重要な理由は、「食」についてのさまざまな問題が、本当は根本的な部分で倫理や道徳的な問題にかかわっているからではないでしょうか。[…]