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ネグリ=ハート『〈帝国〉』勉強会

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 ネグリ=ハート『〈帝国〉』勉強会 2010年2月28日(日)@山の学校

雑誌「Art Quritique」(現在作成中!)企画の一環として、ネグリ=ハート『〈帝国〉』の勉強会を行いました。

  第1部 「非物質的労働」の両義性をめぐって(発表者:百木漠)

  社会思想史を専攻する百木氏からは「非物質的労働」をキーワードとした発表が行われた。

  情報・サービス産業が中心となるポスト・フォーディズム的生産形態において「労働」はどのように変化していくのか。

  非物質的労働」がもつ新たな可能性と危険性(=両義性)について、ネグリ=ハートのみならず、パオロ・ヴィルノ、ロバート・ライシュ、クリスティアン・マラッツイなど多様な思想家の言説を横断する刺激的な発表となった。

 

 第2部 〈帝国〉と「精神分析」(発表者:上尾真道)        

 精神分析を専門とする上尾氏からは、〈帝国〉およびネグリの思想を今いちど精神分析とつきあわせることによって、〈帝国〉思想を捉えなおすという珍しい試みが行われた。

 『〈帝国〉』で扱われていない「死」の問題という観点から、ネグリの思想に何が欠けているのか?を問い直すという非常に興味深い発表となった。

 特に、経済学と精神分析を架橋したドゥルーズ=ガタリの『アンチ・オイディプス』とネグリ=ハートの『〈帝国〉』 を比較する分析は、これまでの先行研究でもほとんど行われてこなかったものであり、 『〈帝国〉』研究に新たな視点を付け加える重要な意義をもつ発表になった。

 

 第3部 新作『コモンウェルス』紹介(発表者:浅野直樹)  

 第3部では浅野氏から、ネグリ=ハートの未邦訳の新作『コモンウェルス』の紹介が行われた。

 本書の紹介は、日本ではまだほとんどなされておらず、その研究・分析は世界的にもまだ十分に進んでいない。そのような状況の中で行われた本発表は、邦訳発表に先駆けて、非常に重要な意義をもつものとなったと言えるだろう。

 これまでネグリ=ハートが描く「新しい共産主義社会」の姿が具体的にどのようなものであるのか、そのイメージが不明確であるとの批判が繰り返し行われてきたが、本書はそのような批判に対して、ネグリ=ハートがかなり踏み込んで、その具体構想を示してみせたものだと位置づけることができる。

「コモンウェルス=共有の富」というアイデアが意味するものは何か。浅野氏の詳細な報告を聞いていただきたい。