書名:死にカタログ
著者:寄藤文平
出版社:大和書房
出版年:2005

『死にカタログ』という何とも奇妙なタイトル。そして、死というイメージに似つかわしくない黄色と緑のポップなイラスト。これらを見て最初に抱いた感想は「よく分からないけど面白そう!」でした。久々にそんな本に出会えました。
 
死といえば掴みどころが無く、とても難解なものだと考えられがちです。この本では、さまざまな国や宗教による死の捉え方の違いから歴史上の偉人や映画の登場人物の最期まで、イラスト付きで丁寧に取り上げられています。

その中でとくに面白いと思った話は、死んだ人がなぜかコオロギに転生してしまうというフィリピンの死生観でした(ジミニー・クリケットかな?) これらを読んでいくと、死はじつに様々な形を持っているというのが分かります。

たしかに、”カタログ”というと死を商品のように扱っているみたいで軽薄だと感じるかもしれません。けれども、この本はまるでお気に入りの色の服を見つけるときのように、死を身近なものとして考えることができます。

(評者:大窪かをり)

更新:2017/03/20