月別アーカイブ: 2014年12月

賀正新年

新年あけましておめでとうございます

昨年はみなさまにお世話になり本当にありがとうございました。
京都アカデメイアは、それぞれの立場をこえて、みんなで知識や知恵を共有し、発展させるための活動に一つ一つ取り組んでまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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2015年元旦

2014年 今年の振り返り

今年1年の京都アカデメイアの主なイベント・活動をまとめておきます。

<1月>
・書評 野原慎司著、『アダム・スミスの近代性の根源――市場はなぜ見出されたのか』、京都大学 学術出版会/上野大樹

<2月>
・批評鍋 第8回『学力幻想』(小玉重夫、筑摩書房)

<3月>
大学改革、どうしてこうなった!?―「京大騒動」から見る大学のいま
・アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論
・書評 本田由紀著、『「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち』、勁草書房/船越克真

<4月>
・批評鍋 第9回 『キャバ嬢の社会学』(北条かや、講談社)
京都アカデメイア塾 開始
・書評 立岩真也著、『造反有理 精神医療現代史へ』、青土社/ひねもす無為
――、香月真理子著、『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』、朝日新聞出版/村田智子
――、嶽本野ばら著、『もえいぬ――正しいオタクになるために』、集英社/――
――、金成隆一著、『ルポ MOOC革命――無料オンライン授業の衝撃』、岩波書店/浅野直樹

<5月>
――――――

<6月>
・批評鍋 第10回『世界が土曜の夜の夢なら』、『ヤンキー化する日本』(斎藤環、角川書店)

<7月>
・書評 ミルチャ・エリアーデ著、 大室幹雄訳、『鍛治師と錬金術師』、せりか書房/師道新

<8月>
・夏休み特別ustream企画―京アカ夏まつり2014―京の真夏の教養三昧

<9月>
・アカデメイアカフェ 〈少子化問題〉は問題なのか?―これからの社会保障を考える―
・書評 河野哲也著、『境界の現象学――始原の海から流体の存在論へ』、筑摩書房/中森弘樹

<10月>
・批評鍋 第11回『弱いつながり-検索ワードを探す旅』(東浩紀、幻冬舎)
・書評 鷲田清一監修,カフェフィロ CAFE PHILO著、『哲学カフェのつくりかた』、大阪大学出版会/大窪善人
――、エリック・ホッファー著、田中淳訳、『波止場日記』、みすず書房/中島啓勝

<11月>
――――――

<12月>
・批評鍋 第12回 『男子の貞操―僕らの性は、僕らが語る』(坂爪真吾、筑摩書房)
・書評 重田園江著、『社会契約論――ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ』、筑摩書房/上野大樹
――、北条かや著、『キャバ嬢の社会学』、講談社/上野大樹
――、オルハン・パムク著、 和久井路子訳、『雪』、藤原書店/田中いくみ

今年の一番のニュースは、京都アカデメイア塾をスタートしたことでした。「大人のための教養塾」と名打った、新しいタイプの学習塾。大学や学校の外での「学び」の機会を広げていくという京都アカデメイアのプロジェクトをまた一歩前進させました。

好評の「批評鍋」は、計5回開催しました。教育、社会、批評、セクシャリティと、いろいろな分野の本を扱いました。
「アカデメイアカフェ」は、結婚、少子化、社会保障などをテーマに、ディスカッション・イベントを開催し、多くの方に参加いただきました。

その他には、京都大学の大学改革の動きを受けた報告会を開催しました。今年は、学校教育法改正をはじめとする、大学改革の大きな動きがありました。また、大学構内に私服警官が許可なく立ち入った上、学生に取り押さえられるという、「京大ポポロ事件」や、大学および教員が、不当な強迫行為を受け辞職を迫られるという事件(結果的には雇用は継続されることになったということですが)をはじめ、大学にかかわる事件が取り沙汰される一年でもありました。改めて、大学の存立や研究の意義、そして、大学と市民社会との関係を問いなおすことの必要性を痛感しました。

最後に、今年も、会員の皆さんからたくさんの書評をお送りいただき、ほぼ毎月1本のペースで掲載することができました。毎回さまざまなジャンルの本が紹介され、ユニークなコーナーになっています。

来年は、会員の皆さんとのコミュニケーションをより充実していくと同時に、新しい流れも取り込んでいきたいと思います。今後ともご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

大窪善人

【エッセイ】どこで学ぶか

2014/12/29


http://photo53.com/

大窪です。

先日、佐伯啓思さんの『西田幾多郎』(新潮新書)が手元に届いたので読み始めました。
西田幾多郎は、『善の研究』の著者で、いわゆる京都学派を形づくったことで知られる哲学者です。

本のまえがきは「哲学の道」についての話からはじまります。京都大学から東に向けて少し行ったところにあるその場所は、西田が思索にふけったことから名づけられたといいます。

実際に行ってみるとわかりますが、なんということのない小川沿いの小道です。しかし、最近では京都の観光名所にもなっていて、とても、静かに考えを巡らせながら歩いている暇などなさそうです。佐伯さんいわく、いっそのこと、哲学者以外、進入禁止にでもしたらどうか(!)、と。

ともあれ、西田にとっては、どこで哲学的な思考をするのか、は重要なことだったようです。もちろん、個人的な事情だけではなくて、彼の非常に晦渋で独特な、そして、ある種の”東洋的”な哲学が、伝統、文化に育まれた、京都で生み出されたということも、やはり偶然ではなかったのでしょう。ちなみに、「場所」は、西田哲学のキーワードのひとつです。

京アカ塾の開催場所は、受講生の方の要望にあわせてさまざまです。

私の場合、これまでのところ、喫茶店やレストランでおこなうことが多いですが、お店によって、雰囲気やかかっている音楽、他のお客さんの声、照明の明るさ、テーブルの質感、そして、コーヒーの香りなど、さまざまです。あるいは、同じ店でも、その日、その時間によっても違ってきます。

とくに意識しているわけではないと思いますが、そうした状況によって、こちらの話し方や考えるモード、ペースも影響されていると思うときがあります。店内が静かだと話す調子もゆっくりと、賑やかだと少しスピードを上げて。また、その場の雰囲気に応じて、話す内容や受け取り方も変わってきます。場所を変えると、それがまたガラッと変わることもあります。

学びの場所というと、わたしたちはすぐに学校や教室をイメージしますが、本当は、それが唯一というわけではありません。たとえば、街場のカフェなどが、学びの場所になることもあります。とりわけ、答えの決まっていないような問いを考える場合なら、なおさらです。そして、その「場所」とは、じつは固定してあるものではなくて、人同士の関係や、周りのいろいろなものとの関係から成り立っているものです。

ありがたいことに、京都には素敵な喫茶店が数多くあります。最近ではお店を紹介した本がいくつも出され人気があるようです。その中で、自分だけの学びの場所を、あるいは、友人や仲間と共有する場所をみつけてみるのもいいですね。

大窪善人

京アカ 批評鍋 #12坂爪真吾 『男子の貞操』録画を公開中!


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第12回批評鍋を放送しました。
テーマ本は、坂爪真吾氏の『男子の貞操―僕らの性は、僕らが語る』です。

これまで意外と語られてこなかった「男性の性」の問題について書かれた本です。
ゲストにサークルクラッシュ同好会のホリィ・セン氏を迎えて徹底的に語りました。

【出演者】
浅野直樹
岡室悠介
ホリィ・セン
大窪善人

【内容】
・男性の視点から性を語る
・男性の性の目的は「処理」?「ケア」?
・”エゴ”な性欲と”エコ”な性欲
・「性の公共」って何?
・性とタブー
・なぜ風俗と恋愛の両極しかないのか
・男女の性の非対称性
・性は自然か文化か?
・記号からリアルへ論
・タブー破り型と積み重ね型
・恋愛するにはコミュニティへの参加が重要?
・夜這い文化に学ぶ
・結婚後の理想の性生活とは
・片思いは記号的恋愛?
・性を禁止しているのは誰なのか?
・神の見えざる手からお上の見えざる手へ
・キラキラの恋愛とストイックな結婚
・結婚と恋愛は別のゲーム
・性愛抜きの結婚の持続可能性問題
・性体験と宗教体験の類縁性
・「男子の貞操」を守るには?

セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱 (小学館101新書)

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