京アカ書評 高橋順子著『夫・車谷長吉』

皆さんこんにちは。京都アカデメイア正会員の村田智子さんが、京アカ書評を書いてくれました!
対象作品は、高橋順子著、『夫・車谷長吉』です。京アカ公式サイトへのリンクを貼ります。
是非ご覧になってみてください。

https://kyoto-academeia.sakura.ne.jp/book_review/id109/

 

分析哲学読書会3月31日(金)13:00-16:00

分析哲学読書会はクワイン「経験主義の二つのドグマ」を読みました。次回3月31日(金)13時~16時、サイモン・エヴニン著、宮島昭二訳『デイヴィドソン-行為と言語の哲学』の一章をめざして読みはじめます(本は買わなくても結構です)。田島正樹先生と共に、骨格をしゃぶりつくしましょう。録画有。お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで!

 

第11回 京アカゼミ 2月26日(日)14:00~

第11回京アカゼミのお知らせです!
今回は、コンピュータサイエンスを専門とする藤原大樹会員による、理数系イベント「古代バビロニア人はどのように2の平方根を求めたか」です!古代バビロニア文明の賢者たちが残した石板を読み込み、彼らがいかにして2の平方根を求めたかを探る、スリリングな科学史的考察です。中学卒業の知識があれば楽しめます。どなたでもご参加いただけますので、社会人だけでなく、中学高校を含めた学生さんの参加もお待ちしております。なお、会の後にはオンライン茶話会を予定しています。お気軽にご参加ください。

時:2月26日(日)14:00 ~ 15:00 その後オンライン茶話会
処:Zoomでのオンライン開催    ※参加無料
どなたでも参加できます(シェア歓迎)。以下のリンクまたは添付のPDFのQRコードよりお申込み下さい。参加URLをメールにてお知らせします。

https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZ0tc-6uqTwuG9WoOvRsTQcfslKX2kgJQOZr

お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで!

チラシのPDFファイル

2023年2月26日(日) 追記
京アカゼミにお越し頂きありがとうございました。
プレゼン資料をアップロードしておきます。

プレゼン資料

無料の学術書 数学とコンピュータサイエンスを中心として

はじめに

インターネット上で無料で公開されている学術書をまとめました。分野は数学とコンピュータサイエンスが中心です。このリンク集では、著者や出版社自らが内容を公開している公式ホームページを選定しました。個人使用の限りでは著作権の侵害にはならないので、安心して下さい。

なぜ学術書がインターネット上で無料で読めるのか? その理由は、「オープンアクセス」による出版です。オープンアクセスとは、学術情報をインターネットを通じて誰もが無料で閲覧可能な状態にすることです。(参考サイト[1] ) 個人や研究機関にとって学術論文・学術書が高価すぎるという問題を改善し、多くの人が学術情報を利用できるようにするため、オープンアクセスによる出版が推進されています。

参考サイト
[1] Eriko Amano, 学術書のオープンアクセスを考える

学術書のリンク集

書名: The Elements of Statistical Learning: Data Mining, Inference, and Prediction, Second Edition
著者: Trevor Hastie, Robert Tibshirani, Jerome Friedman
出版社: Springer; 2nd edition (2016)
公式HP
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分野: 機械学習

書名: Pattern Recognition and Machine Learning
著者: Christopher M. Bishop
出版社: Springer (August 17, 2006)
公式HP
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分野: 機械学習

書名: Understanding Machine Learning: From Theory to Algorithms
著者: Shai Shalev-Shwartz, Shai Ben-David
出版社: Cambridge University Press; 1 edition (May 19, 2014)
公式HP
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分野: 機械学習

書名: Mathematics for Machine Learning
著者: Marc Peter Deisenroth, A. Aldo Faisal, and Cheng Soon Ong
出版社: Cambridge University Press (April 23, 2020)
公式HP
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分野: 機械学習

書名: Data Science and Machine Learning: Mathematical and Statistical Methods
著者: D.P. Kroese, Z.I. Botev, T. Taimre, R. Vaisman
出版社: Chapman and Hall/CRC; 1st edition(November 22, 2019)
公式HP
ダウンロード
分野: 機械学習

書名: Probabilistic Machine Learning: An Introduction
著者: Kevin P. Murphy
出版社: The MIT Press (March 1, 2022)
公式HP
分野: 機械学習

書名: Geometry in Figures
著者: A. V. Akopyan
出版社: CreateSpace Independent Publishing Platform (August 1, 2011)
公式HP
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分野: 平面幾何学
コメント: first editionのみダウンロード可能.

書名: Abstract Algebra: Theory and Applications
著者: Thomas Judson
出版社: Orthogonal Publishing L3c
公式HP
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分野: 抽象代数

書名: Discrete Choice Methods with Simulation
著者: Kenneth E. Train
出版社: Cambridge University Press; 2 edition (June 30, 2009)
公式HP
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分野: 経済学

書名: Automate the Boring Stuff with Python, 2nd Edition: Practical Programming for Total Beginners
著者: Al Sweigart
出版社: No Starch Press; 2 edition (November 12, 2019)
公式HP
分野: プログラミング言語のPython


書名: Elementary Number Theory: Primes, Congruences, and Secrets: A Computational Approach
著者: William Stein
出版社: Springer; 2009 edition (December 3, 2008)
公式HP
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分野: 初等整数論

書名: Linear Algebra Done Right
著者: Sheldon Axler
出版社: Springer
公式HP
分野: 線形代数
コメント: 2023年12月に第4版がオープンアクセスになる予定

書名: Introduction to Applied Linear Algebra: Vectors, Matrices, and Least Squares
著者: Stephen Boyd & Lieven Vandenberghe
出版社: Cambridge University Press; 1 edition (August 23, 2018)
公式HP
ダウンロード
分野: 線形代数とその応用

合計13冊を紹介しました。

作成: 藤原大樹
更新: 2023年1月30日

京アカオンライン輪読会 世阿弥『風姿花伝』

京都アカデメイアオンライン輪読会では、2月3日(金)20:00より、週1回のペースで世阿弥『風姿花伝』を読みます!
予習不要、どなたでも参加できます。ときどきの参加、一回だけのお試し参加も歓迎です。お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで。
なお、現代語訳の付いた本を各自でご用意ください。入手しやすいものを4つほど挙げておきますが、これら以外の本でも結構です。
多数のご参加をお待ちしています!

①角川ソフィア文庫

②講談社文庫

③講談社学術文庫

④ちくま学芸文庫

 

人工知能で英語の音声教材を作成

フリーランスの知人に依頼して、英語の音声教材を作成してもらいました。利点や今後の課題が見えてきたので、そのことについて執筆します。

1. 英語学習してます

私は趣味で英語の勉強をしています。塾に通っているわけではなく、完全に独学でやっています。最近は英単語力強化、いわゆるVocabulary Buildingに力を入れています。使用している英単語帳は「一杉武史著 改訂版 キクタン英検1級 アルク社」です。どうやって勉強するかというと、英単語帳の短いフレーズを何度も音読します。大学受験用のシステム英単語と同じ勉強方式です。さらに、リスニング力を向上させるには、自分で発音するだけでなく、音声教材のお手本を聴くことが重要です。ところが、キクタンでは長い例文の音声ファイルはありますが、短いフレーズには音声ファイルがありません。困ったことにリスニングの練習ができません。1つの解決策はネイティブスピーカーに依頼して音声教材を作成してもらうです。しかし、この方法はお金がかかり過ぎて無理です。2つ目の解決策は、人工知能を活用して音声教材を作るです。これは比較的安くできるのではないかと閃きました。

2. Quizletという選択肢

実はQuizletという無料のWebアプリがあります。Quizletは自作の単語カードを作って、Web上で暗記していくというシステムです。Quizletは単語カードを人工知能による音声で読み上げてくれます。しかし、英語の読み上げは少し不自然です。Quizletより自然な英語音声で勉強したいと思いました。

3. 自作英単語帳の作成方法

人工知能に英語を喋ってもらうためには、まず自作の英単語帳を作成する必要があります。今回はマークダウンファイルの表を用いて英単語帳を作ります。表の各行はフレーズを表します。そして表の各列は、ID番号、英語フレーズ、日本語フレーズ、コメントの4つです。マークダウンの実体はただのテキストファイルです。しかし、マークダウンは手軽に綺麗なドキュメントに変換できます。マークダウンファイルをhtmlファイルに変換することで綺麗な表ができます。その変換をするのはStackEditという無料のWebアプリです。次に、htmlファイルをPDFファイルに変換すれば、印刷できる状態になります。その変換をするのはChromeという無料のブラウザです。

英単語帳_サンプル.md
英単語帳_サンプル.pdf

4. 人工知能で音声教材を作成

4.1 Google社のWaveNet

今回音声教材を作成するにあたって、Google社のWaveNetという人工知能を活用します。WaveNetはText-to-Speechという種類のソフトウェアで、文字情報を音声情報に変換してくれます。簡単にいうと原稿を読み上げるアナウンサーの役割を果たす人工知能です。高性能な人工知能なのですが、下記のサイトに無料の試用デモがあります。とりあえず、試用デモを動かして自分の好きな言葉をWaveNetに喋らせて下さい。音声が自然で人間に近いことが分かると思います。
https://cloud.google.com/text-to-speech

WaveNetは英語と日本語だけでなく、40以上の言語を喋ってくれます。そして、男女の声質が準備されています。利用料金は有料ですが、100万文字あたり$16米ドルで格安です。更に、最初の100万文字は毎月無料です。なので、英単語帳一冊分を読み上げるだけなら、実質無料で毎月利用できます。ただし、クレジットカード情報をGoogleに登録する必要があります。

4.2 必要な技術はPythonだけ

必要な技術はプログラミング言語Pythonの入門レベルだけです。一般に、人工知能を活用するには高度な専門的知識が必要になります。しかし今回は、専門的知識は全く必要ありません。その理由は、WaveNetとPydubが直感的なPythonのAPIを提供してくれるからです。難しくはないが、時間と手間が掛かるという認識です。

4.3 パソコン環境を整備する

Pythonプログラムを活用するに当たって、パソコン環境を整備する必要があります。以下の手順で行います。

Step1. 人工知能WaveNetを使える様にパソコン環境を整備する。
下記のYoutube動画を参考にします。

下記のPythonプログラムも参考になります。
https://gist.github.com/coding-youtuber/e8a2970bde14e08b5854fab5ae8003e4

Step2. PythonのライブラリPydubをインストールする。
Pydubは直感的なAPIで音声ファイルを連結できます。音声の連結は足算記号+で実現できます。

4.4 Pythonプログラムの機能

Pythonのプログラムを用いて音声教材を作成します。入力は英単語帳であるマークダウンファイルです。出力は音声教材であるmp3ファイルです。次の手順でPythonプログラムは動作します。

Step1.英語音声と日本語音声のそれぞれを作成する。

Step1.1 英語音声をWaveNetで作成する。
英語フレーズをアメリカ英語、Speed=0.85でmp3ファイルを作成する。
Speed=1.00は英語ネイティブの標準スピードなので速すぎます。Speed=0.85にすると少しゆっくり目で丁度良いです。

Step1.2 日本語音声をWaveNetで作成する。
日本語フレーズをSpeed=1.00でmp3ファイルを作成する。
日本語は標準スピードで問題ありません。

Step2. 英語音声と日本語音声を連結する。
Pydubを用いて英語と日本語のファイルを連結する。
1フレーズに対して、「英語から日本語へ」と「日本語から英語へ」の2種類のmp3ファイルを作成する。音声ファイルを連結する際に、下記の様に空白音声を入れる。
(英日ファイル) = (英語フレーズ) + (2秒間の空白) + (日本語フレーズ) + (2秒間の空白)。
(日英ファイル) = (日本語フレーズ) + (2秒間の空白) + (英語フレーズ) + (2秒間の空白)。
ファイル名は「ID番号.mp3」とする。
コメント列及びID番号列は読み上げない。

5. 人工知能WaveNetは漢字を誤読する

WaveNetは非常に賢い人工知能ですが、たまに漢字を誤読します。例を二つ挙げると、

例1:入力「口げんかはもう止(や)めなさい!」
=> WaveNet「口げんかはもう止(ど)めなさい!」

例2:入力「あなたの家までお供(とも)する」
=> WaveNet「あなたの家までお供(きょう)する」

などがあります。訓読みすべき漢字を音読みしてしまうという傾向があります。この問題は、入力をひらがなやカタカナにすることで取り敢えずは解決できます。例1だと、入力を「口げんかはもうやめなさい!」にするだけです。

実務上は次の手順で音声教材を改定します。
Step1. 音声ファイルを自分の耳で聴いて精密検査する。
Step2. 修正箇所の一覧表をマークダウン形式で作成する。
Step3. 修正箇所一覧表をPythonプログラムへ入力し、誤読のない音声ファイルを作成する。
Step4. 修正した音声ファイルで古い音声ファイルを上書きする。
Step5. 音声教材全体の最終検査をする。

修正一覧表_サンプル.md
修正一覧表_サンプル.pdf

6. 音声教材の使用感

さっそく音声教材を用いて英語のトレーニングをしてみました。リスニング力を向上させられそうな予感がしました。ほぼほぼ満足しています。日本語音声は少しだけ不自然です。将来的にGoogle社にWaveNetを改善してもらうしかないです。しかし不思議なもので不自然な音声でも数回聴くうちに耳が慣れます。日本語音声の不自然さは、仕方ないと諦めます。一方英語音声は、ネイティブ発音に完璧に近いと言える水準なので、大満足です。ただ、英語音声の方でも、少し怪しい発音を発見しました。例を挙げます。

“at the zenith of his career”と聴こえたでしょうか? 残念ながら私の耳にはそうは聴こえなかったです。聞き取り不可能でした。この現象は、私の英語耳が悪いのか、WaveNetが悪いのかは判断できません。したがって、英語音声についてもこれ以上の追求は行いません。

実は数年前に今回と同じように人工知能を用いて音声教材を作成しようとしました。その当時の合成音声技術は現在と比べてとても低かったです。非ネイティブの私が聴いても、英語音声は明らかに不自然でした。この数年間で技術の進歩があり、今回はGoogle社のWaveNetを利用することで、英語学習の実用に耐えうる音声教材を作成できました。

作成: 藤原大樹
更新: 2022年12月24日

 

分析哲学読書会1月27日(金)13:00-16:00

言語哲学大全読書会は1巻を読了しました。次回1月27日(金)13時~16時に、趣向を大きく変え、クワインの『論理的観点から』所収「なにがあるのかについて」をとりあげます。会の名を分析哲学読書会と改めます。田島正樹先生と共に、分析哲学の骨組みを学びつくしましょう。引続き録画もご用意します。お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで。

 

正多面体の折紙

正多面体の折紙や紙工作についてまとめました. 正多面体は, 正4面体, 立方体, 正8面体, 正12面体, 及び正20面体の5種類のみです. 多面体の折紙作品は散見されますが、その作品を実際に自分で作ろうとすると、情報が全く整理されておらず困ります. そこで, 5種類の正多面体を折紙でどのように工作するかについて文献を調査し整理しました. 同じ多面体モデルに対して多数の工作方法があり, その中には工作初心者にとって難易度が高すぎる手法もありました. 本稿では, 難易度が比較的易しい工作方法のみを厳選して紹介します.

PDFファイル(約26メガバイト)

作成: 藤原大樹
更新: 2022年11月12日