京アカスーパー銭湯積読解消会と解消した積読

おひさしぶりです。京アカ会員の村田です。
昔はときどきブログを書いていましたが、数年ログインしていませんでした。
またときどき書こうと思います。

先日京アカメンバーの、
「スーパー銭湯に行って積読を解消する」
という企画に参加してきました。
といっても、めいめい好きなタイミングで風呂に入り、専用スペースでそれぞれ持参した本を読んだり勉強をしたりあるいは備え付けの漫画を読んだり昼寝したりする、というだけのイベントです。
しかし、皆がいると思うだけで諸々捗り大変よかったです。「対面」のイベントも久々でありました。

皆、好きなときに来て好きなときに帰ります。私は昼過ぎに来て深夜までいました。
持参した本は以下の通り。積読解消状況を紹介してみます。

・新日本古典文学大系『中世日記紀行集』(岩波書店)から「中務内侍日記」:
一年くらい積んでいた本。昔に古文の入試問題で一部読んで長年気になっていたのがやっと読めました。

・『テーマで読み解く中国の文化』(ミネルヴァ書房):
仕事で読む必要があった本。2章分読めました。

・『巨人出口王仁三郎』(現代教養文庫):
数か月積んでいる本。現地では読めませんでしたが行き帰りの電車で少し読みました。

・『これが現象学だ』(講談社現代新書):
数か月積んでいる本。持ってきたものの読めませんでした。
しかし、「積読の中からどれを持ってこようか選ぶのが楽しかったからOK」「家から移動させたことに意義がある!」と皆と話しました。(その後無事読み始めることができました)

・番外)『ママレード・ボーイLittle』
スーパー銭湯においてあった漫画。3巻くらい読みました。
90年代の少女漫画『ママレード・ボーイ』の続編ですが前作の登場人物が大人になっていました。

途中、食事やデザートを皆でとりながらお喋りしました(これも自由参加)。皆の積読本も紹介してもらいました。普段読まないテーマの学術書や気になる小説を教えてもらい、「積読解消会に行ってまた積まれる本が増える」事態となりました。風呂もよかったです。

京アカ 哲学・思想系読書会『愛について~アイデンティティと欲望の政治学』いよいよ最終回

竹村和子著『愛について~アイデンティティと欲望の政治学』岩波書店、2002年 をゆっくりじっくり読み進めてきた、酒井麻依子さん企画・主宰の京アカ 哲学・思想系オンライン読書会。
この1年間、「個別的な物語と集合的な物語」「一つの事実性の解体」「語りえない声、聞きとれない声」「差異と同一化(個別と普遍)」「翻訳の(不)可能性」「承認と再配分」「アイデンティティの中断」など考えがいのあるテーマにたくさん出会いました。
昨日も「汚染されている普遍」、女と男のように「非対称的で不可逆的な関係」が「語りえぬものを聞く」「聞きえぬものを語る」交通が成り立つ可能性、普遍が成り立たない個別性・他者性に気づきつつも普遍を求め続けることで普遍の変容の可能性などが提唱されていました。次回は最終節「狂気の再演」~タイトルだけでも何が書いてあるのだろうとワクワク。

4月以降、本を変えてほぼ隔週水曜日19:30~にZoomで開催予定。どなたでもご参加大歓迎(無料)。 お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで!

京アカオンライン輪読会『昭和史 新版』開戦前夜を一緒に味わいませんか

京アカオンライン輪読会 毎週土曜日20時~  昨年12月からは、遠山茂樹・今井清一・藤原彰『昭和史 新版』(岩波新書、1959年)を読んでいます。ここまで、大正デモクラシーから、世界恐慌、治安維持法、満州事変、五・一五事件、国際連盟脱退、二・二六事件を経て、日中戦争開始、国家総動員法制定などの時代を味わって来ました。
何度か引き返す道があったのに、経済情勢、国際情勢、政党・官僚・軍部・天皇などの国内政治情勢、思想統制・迎合、無作為・偶然などさまざまなパワーバランスで戦争という道を選択するリアルを読みやすい文体で味わっています。
次回3/16(土)20時~は、近衛新体制、大政翼賛会、日ソ中立条約などの太平洋戦争開戦前夜の頃を読みます。
どなたでも参加できます(無料)! お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで!

【京アカオンライン輪読会】 次に読む本は 『昭和史 新版』(岩波新書)です。初回は12月23日(土)20:00~

【京アカ輪読会 12月23日(土)20:00~】
京アカオンライン輪読会ではつぎに遠山茂樹・今井清一・藤原彰『昭和史 新版』(岩波新書、1959年)を読むことにしました。アジア太平洋戦争をじかに経験した若き歴史家たちが、「なぜ私たち国民は戦争に巻き込まれ、押し流されたのか、なぜ自らの力で防ぐことができなかったのか」という切実な問題意識のもと、第一次世界大戦期にまで溯って分析したロングセラーです。資料的には古くても、戦中派世代にしか書けない熱量をもった現代の古典と言えるかと思います。「新しい戦前」と呼ばれる現在、いまいちどこの本を読みなおしてみましょう。どなたでも参加できます!お問合せは kyotoacademeia@gmail.com まで!

今井清一・藤原彰『昭和史 新版』(岩波新書、1959年)

 

 

アークタンジェント公式の代数的証明

以前のブログではアークタンジェント公式をProof Without Words風に視覚的に証明しました.
今回はNelsenさんの論文を参考にして代数的に証明します.
その様子をPDFファイルにまとめました.
計算式だけで単調ですが良かったら見て下さい.

PDFファイル

作成: 藤原大樹
更新: 2024年2月25日

 

角の二等分線定理

今日は平面幾何学の”角の二等分線定理”を勉強しました。
この定理は、小学生でも知っている大変有名な定理です。
しかしながら、お恥ずかしい話ですが、今日産まれて初めて証明を知りました。
そこで理解を深めるために3つの証明をPDFファイルに要約しました。
どの証明も個性的でイラストを見ているだけで胸が躍ります。

PDFファイル

作成: 藤原大樹
更新: 2024年2月24日

数学パズル(その2)

はじめに

数学パズル(その1)の続編です。
今回は折紙パズルが多くなりました。
皆様、是非とも自分で考えて楽しんで下さい。

問題1

別の折紙パズルに挑戦します。

[問題]
正方形を2本の直線で切り離し、平行移動して並べ替えて正方形と同じ面積の長方形にするには、どうすればいいのか?
ただし、正方形の対角線≧作る長方形の長辺>正方形の一辺とします。

[出典]
文献[1]の7ページ

[コメント]
ちょっとだけ考えました。
2本の直線を見つけるだけなので簡単と思えましたが、実体は難しそうです。
腰を落ち着けて取り組みたい問題です。

閃いて、自力で解くことができました。
ヒントの画像を置いておきます。

 

問題2

更なる折紙パズルを考えます。

[問題]
長方形を2本の直線で切り離し、平行移動して並べ替えて長方形と同じ面積の正方形にするには、どうすればいいのか?
ただし2回のカットで正方形ができるのは、長辺<短辺×2の長方形用紙です。

[出典]
文献[1]の8ページ

[コメント]
超難問の気配を感じます。
まずはコピー用紙(白銀矩形)で考えると良いような気がします。

7ページの変形を逆に行えば、長方形から長方形を作成できそう。

さっぱり分からないので解答を見ちゃいました。

ヒントの画像を置いておきます。

カットするのは、2本の赤の線分です。

アルゴリズムの正当性は「2本の赤の線分が同じ長さかつ垂直に交わる」で保証されます。

この正当性の証明も自力では無理でした。

問題3

次は軽めの問題にします。
でも面白いと思います。

[問題]
コピー用紙(白銀矩形)を用いてタンジェント22.5°を求めよ。
白銀矩形とは長辺と短辺の比がルート2の長方形である。

[出典]
文献[2]

[コメント]
この問題は自力で解けました。嬉しい。
ヒントの画像を置いておきます。


ポイントは、青の3角形が2等辺3角形になることです。
赤の3角形に注目すると、タンジェント22.5°がルート2マイナス1となります。

問題4

ネットで凄いウワサをキャッチしました。
ルート2の無理数性を折紙で証明できるらしいです。
真偽を確かめたいと思います。

[問題]
折紙を用いて、ルート2が無理数であることを証明せよ.

[出典]
文献[3]の102ページ

[コメント]
ウワサは本当でした.

証明のポイントと画像をメモしておきます.

ルート2を有理数a/bと仮定する.
a, bはそれぞれ自然数である.
画像の通り折紙をする.


赤の3角形は元の3角形と相似なので,
ルート2 = (2b – a)/(a – b)となる.
1 < a/b < 2より, a > 2b-a > 0かつ b > a-b > 0が成立する.
よって, ルート2をa/b → (2b – a)/(a – b)とする代数的操作は有限回しか繰り返せない.
その一方で元の3角形から赤の3角形を折紙で構成する幾何学的操作は無制限に何回でも繰り返せる.
代数的操作と幾何学的操作の間に矛盾が生じる.
よってルート2は無理数である.

問題5

次は錯視を用いたパズルです.

[問題]
以下のサイトの画像にある立体図形をコピー用紙1枚で作成せよ.
https://www.cutoutfoldup.com/1102-impossible-flap-.php

[出典]
文献[4]の72ページ

[コメント]
うーん、悩ましいです。どうやったらこんな物を作れるんだ?

実際に工作をすると5分で解けました。


3本の赤の線分を切ります.
そして、横線を回転軸として紙を少しひねると完成です.
画像を見ているだけだと全く分かりませんが、実際に工作してみるとすぐ理解できます。

参考文献

[1] 阿部恒. (2012). すごいぞ折り紙入門編: 折り紙の発想で幾何を楽しむ. 日本評論社.

[2] Bogomolny, A. (2018). Cut The Knot, Tangent of 22.5° – Proof Without Words.
https://www.cut-the-knot.org/pythagoras/Tangent225.shtml

[3] Toth, G. (2021). Elements of Mathematics: A Problem-Centered Approach to History and Foundations. Springer International Publishing.

[4] Jackson, P. (2013). Cut & Fold Techniques for Promotional Materials. Laurence King Publishing.

作成: 藤原大樹
更新: 2024年2月22日

 

数学パズル(その1)

はじめに

最近、数学パズルにハマっています。楽しいです。その奮闘状況を京アカTwitterで報告していました。皆様からいいねをたくさん頂き、予想外に反響が大きかったです。そのお陰でやる気が高まりました。皆様ありがとうございます。その一方で情報が溜まってくるにつれTwitterでは見ずらくなってきました。なので、これまでの情報をブログに整理します。

今回はとっておきの5題を紹介します。必要となる予備知識は中学生レベルなので、文系の皆様も楽しめると思います。解答は著作権の関係ですべてを記載することはできません。当ブログでは解答のエッセンスとなるヒントだけ示します。詳細な解答を知りたい方は申し訳ないですが、参考文献に当たって下さい。

あと、年明けからオンライン自習室を再開しているのですが、誰も来てくれません。寂しいです。誰か来てくれると嬉しいです。

問題1

[問題]
Show how to cut a cube to form a regular hexagon.
立方体から1枚の正6角形を切り出す方法は?

[出典]
文献[3]の問題3.4

[コメント]
理解を深めるために折紙で模型を作りました。
立方体の断面が確かに正6角形になっています。

問題2

[問題]
The famous number φ is called the golden ratio and is usually associated with a regular pentagon. Show how to construct φ using just an equilateral triangle.
黄金比φは正5角形に通常関連づけられる。黄金比φを1つの正3角形だけから構成する方法は?

[出典]
文献[3]の問題3.9

[コメント]
分からないので解答を見ちゃいました。

大ヒントは次の画像です。
2本の赤の線分に対してThe Intersecting Chords Theoremを適用すると?

 

問題3

[問題]
Show that the sum of the angles of a plane triangle is 180°.
平面において3角形の内角の和が180度であることを示せ.

[出典]
文献[3]の問題3.8

[コメント]
普通の証明は以下の図だと思います。

文献[3]の解答は、ピタゴラスによる普通の証明だけでした。
しかし、文献[4]では4つの証明が紹介されています。非常に勉強になりそうです。

問題4

[問題]
Each of three circles in the plane intersects the other two in exactly two points, giving exactly six distinct intersection points in all. Show that the common chords of each two circles are concurrent, that is, meet at a single point.
言葉で理解するよりも図で示します。

[出典]
文献[3]の問題3.3

[コメント]
この問題は文献[2]の264ページで見かけたことがあります.  証明が同じかどうか気になります.  まずは文献[2]を復習します.

文献[2]ではthe intersecting chords theorem(方べきの定理)を用いた幾何学的な証明が与えられていました。一方、文献[3]の証明は代数的でした。代数的な証明のヒントをメモしておきます。

問題5

[背景]
折紙でピタゴラスの定理(三平方の定理)を証明できるという情報をキャッチしました。ホントかどうか確かめるために文献[1]の13ページを読みます。

[問題]
正方形を切り離し、平行移動して並び替えて2つの面積の異なる正方形にするには、どうすればいいのか?

[コメント]
初見では分かりませんが、じっくり考えます。

分からなかったので解答を見ました。自分では絶対発見できません。皆様のために、ヒントの画像を置いておきます。

青色の直角三角形に関して、ピタゴラスの定理が成立します。
その理由は、元の正方形の面積と変形後の図形である2つの正方形の合計面積を比較すると同じだからです。
面白い証明です。今回初めて知りました。

参考文献

[1] 阿部恒. (2012). すごいぞ折り紙入門編: 折り紙の発想で幾何を楽しむ. 日本評論社.

[2] Acheson,D. (2020). The Wonder Book of Geometry: A Mathematical Story. OUP Oxford.

[3] MacHale,D. (2023). Lateral Solutions to Mathematical Problems. CRC Press.

[4] Bogomolny,A. (2018). Cut The Knot, Angles in Triangle Add to 180°.
https://www.cut-the-knot.org/triangle/pythpar/AnglesInTriangle.shtml

作成: 藤原大樹
更新: 2024年2月17日