アカデメイア・カフェ」カテゴリーアーカイブ

アカデメイアカフェ「〈少子化問題〉は問題なのか?―これからの社会保障を考える―」

次回イベント、アカデメイアカフェのお知らせです。
アカデメイア・カフェは、毎回決められたテーマについて、参加者が自由 に議論しあうイベントです。
毎回幅広い年代、職業の方に参加いただいています。予備知識なし、はじめての方大歓迎です。

今回のテーマは「〈少子化問題〉は問題なのか?―これからの社会保障を考える―」です。
今回はゲストに社会保障に詳しい柴田悠さん(社会学者)をお呼びし、少子化や社会保障についての基礎知識を学びながら、よりよい社会をつくるためにはどうすればよいのか、みなさんと一緒に考えます。どなたでもお気軽にご参加ください!

<第9回アカデメイアカフェ>
テーマ : 「〈少子化問題〉は問題なのか?―これからの社会保障を考える―」
日時 : 9月19日(金)20時~21時半
場所 : 生きている珈琲(京都市下京区立売東町 みのや四条ビルB1F)
ゲスト : 柴田悠さん(社会学者・立命館大学准教授)
※参加費無料。ドリンク1杯の注文でご参加いただけます。途中入退出自由。当日会場までお越しください。

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※柴田 悠(しばた・はるか)さんプロフィール

立命館大学産業社会学部准教授
専門は社会学、社会保障論。
京都府の「京都少子化対策総合戦略会議」で委員も務める。

参考1:柴田悠さんが書かれたシノドスに書かれた記事
「子育て支援」を「相続税」で拡充せよ――新成長戦略の限界とその克服

参考2:京都新聞9月6日朝刊「オピニオン・解説」での柴田悠さんへのインタビュー
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みなさまのご参加お待ちしております!

百木漠

アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論のまとめ

http://d.hatena.ne.jp/kyotoacademeia/20140318#1395146858で告知していたイベント、アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論を開催いたしました。そのまとめと議論の整理をしておきます。

プレゼンテーション資料

1.年齢別未婚率の推移
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図録▽未婚率の推移 (http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1540.html)より
* 日本の婚外子の割合は2%程度なので、事実婚の割合もそれほど多くないと考えられる2.未婚率上昇の原因
結婚へと向かわせる要因(伝統、生活上の必要性、価値観など)の減少
パラサイトシングル論
恋愛の自由化

3.婚活
少子化対策としての側面(赤川学vs山田昌弘)
婚活の種類…お見合い、知人の紹介、結婚相談所、サイト、合コン、自治体イベントなど

4.結婚の法的意義
人格的効果…同居義務、協力義務、扶助義務(生活保持義務)、貞操義務
財産上の効果…婚姻費用の分担、日常の家事に関する債務の連帯責任、夫婦別産制
その他の効果…相続、子の嫡出化、氏、姻族、成年擬制、生命侵害に対する慰謝料
離婚の方法…協議、調停・審判、裁判(民法770条の5つの理由)
離婚の効果…財産分与(清算、扶養、損害賠償)、子の扱い(親権者・監護者、面接交流、監護費用)

当日の議論のまとめ

    • 結婚したい? どちらでもよい? したくない?
    • 日本ではどうして事実婚が少ないの?
    • 結婚相手に求めるもの――子ども、収入、親密性、深い人間関係など
    • 男性に安定した収入がないと結婚に踏み切れない?
    • 婚活イベントの体験談――いろいろな人と話せるのはいいが、いきなり好きになるのはなかなか…
    • 婚活サイトは条件で絞りをかける一方で、文面から人柄を推測することもできる
    • 恋愛は結婚の前提?
    • 同じ人でも年齢を重ねるにつれて結婚観が変わる

 

補足

結婚と寿命の関係
当日の議論では未婚者のほうが長生きするという統計があるとの話が出ましたが、インターネットで検索しただけではその統計が見つけられず、むしろ未婚は寿命を縮めるというデータがありました。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1820.html

もし未婚が寿命を伸ばすという統計をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

女性の労働力率(M字カーブ)
現在ではM字型とは言えないほどになっています。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html

法律婚と事実婚の違い
意外かもしれませんが、法律や制度の上では事実婚にデメリットがほとんどありません。考えられるデメリットは以下の2つくらいです。
  • 所得税や住民税の配偶者控除を受けられない
  • 相続が認められない

もっとも、この2つについても、夫婦ともにそれなり(103万円あるいは141万円以上)の収入があればどのみち配偶者控除が受けられないので同じことですし、相続が認められなくても遺言で遺贈すればよいことです(相続ではなく遺贈になると相続税の計算で少し不利ですが、5000万円以下ならそもそも相続税が発生しません)。社会保険(健康保険や年金)は事実婚でも不利になりません。事実婚の証明は住民票で夫(未届)または妻(未届)とするそうです。事実婚のデメリットは各種の家族割引や病院での身元引受人になれるかどうか、ひいては世間の目といった、はっきりとした制度とは別のところにあります。

今月「生きている珈琲」でイベントします

アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論

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5人に1人が生涯結婚しない時代。
そもそも結婚しないといけないのか?
少子化、格差社会、おひとりさま、
バーチャル家族、シェアメイト・・・
これからの社会、個人のライフ・スタイルについて考えます。

昨今の「婚活」にまつわる問題から、結婚、家族の未来像までディスカッションします。

・プレゼンテーション:浅野直樹(京都アカデメイア)
日時:2014年3月28日(金)午後8時~9時半頃
・会場:生きている珈琲(京都市下京区立売東町 みやの四条ビルB1F,ジュンク堂書店京都店 東側スグ)
・参加方法 ドリンク一杯の注文で参加できます。途中入退出も自由です。当日 直接会場までお越しください。

・主催:協力:NPO法人京都アカデメイア
・協力:生きている珈琲

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アカデメイアカフェとは?
アカデメイアカフェは、NPO法人京都アカデメイアが主催するディスカッション・イベントです。
予備知識は必要ありません。美味しい珈琲を飲みながら、みんなで議論しませんか? 前回参加していただいた方も初めての方も、ご都合の合う方はお気軽にご参加ください。
アカデメイアの活動についてはこちらをご覧ください。
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アカデメイアカフェ開催しました

先月末、四条・生きている珈琲でアカデメイアカフェを開催しました。今回は6月に「経済成長」をテーマにしたカフェのシリーズ企画・「経済成長と幸せ」を行いました。前回のリピーターの方、今回はじめての方もたくさん来ていただき、充実した内容となりました。前回は、参加者のみなさんと経済成長推進派/脱成長派にわかれて議論しました。対して今回は、あえてあらかじめ主催者側で対立軸は設定せずに、みなさんと論点や対立軸を探していくというスタイルで進めました。

「幸せ」を定義することは難しい。幸せとは、たとえば、好きな音楽を聞いたり、好きな本を読んでいるとき、好きな人と一緒にいるとき、あるいは、美味しいコーヒーが飲めて嬉しいというような、主観的な感情です。しかし同時に、幸せとは、社会調査の分析や社会政策の目標、あるいは哲学的な思索の対象となるような、客観的なできごとでもあります。最近話題になった古市憲寿さんの本では、いくつかの統計データをもとに、現代の若者の多くが(主観的には)いまの生活に満足していると感じているということを描きだしました。その結果は、2000年代以降の格差の拡大や日本経済の停滞が深刻な問題となっているという現実がある中で、多くの人に驚きをもって受け取られました。また、「世界一幸せな国」として紹介されているブータンでは、GDPとは別にGNH(Gross National Happiness/国民総幸福)という指標を設定し、それをもとに国家の政策を進めてもいます。

ディスカッションでは、幸せをめぐる時代・世代論的な論点で盛り上がりました。戦後の日本社会ではずっと、目の前の抑圧や障害を取り除いていくことで幸せを達成してきたという意識がある、しかし、他方で、現代では昔とくらべて充分に豊かになり、目にみえる障害が少なくなったにもかかわらず、かえって幸せや自由を実感しにくくなっているように感じられる、と。あるいは、逆に、本当に社会や個人は自由になってきたのかという鋭い意見も出ました。たとえば、就職活動での一見個人の選択肢の拡大にみえることが、同時に、就職をしなければならないという選択を自明の前提としている、というように。たしかに、それは、「抑圧的寛容」(H.マルクーゼ)とでもいうような、制限付きの自由であるに過ぎないと言うべきかもしれません。
よりよい幸せはどしたら実現できるのか。また、そのときに経済はどのようなあり方がふさわしいのか。簡単には答えの出ない難しい問いですが、今回、議論を通して、事後的にさまざまな論点や対立軸が見出されたことには公共的な意味があったのではないか、と思います。

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大窪善人

今月 生きている珈琲でイベントします

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アカデメイアカフェ ―経済成長と幸せ

アカデメイアカフェ at 生きている珈琲 第二弾!
今回は「経済成長と幸せ」というテーマについて考えます。前回のアカデメイアカフェは、経済成長についてYes/Noの立場に分かれて議論を交わしました。シリーズ2回目の今回は、参加者みなさんと議論をより深めるために、”幸せ”というテーマをプラスしました。幸せについて普段感じている素朴な感覚や経験から、経済成長がもつ意味について、あらためて考えてみたいと思います。予備知識は必要ありません。美味しい珈琲を飲みながら、みんなで議論しませんか? 前回参加していただいた方も初めての方も、ご都合の合う方はお気軽にご参加ください。

・日時:2013年9月27日(金)午後8時~9時半頃
・会場:生きている珈琲(京都市下京区立売東町 みやの四条ビルB1F,ジュンク堂書店京都店 東側スグ)

・参加方法 ドリンク一杯で参加できます。途中入退出も自由です。当日 直接会場までお越しください。

・主催・協力:NPO法人京都アカデメイア/生きている珈琲
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アカデメイアカフェ満員御礼!!

今週金曜日にアカデメイアカフェを開催いたしました。20名以上の方にご参加いただき、会場は満席となりました。

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打ち合わせ風景

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京アカ・スタッフによるプレゼンテーション

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ディスカッション

前半は経済成長推進/脱成長それぞれの立場から、アカデメイア・スタッフがプレゼンテーションを行いました。そして、後半は、推進支持/脱成長支持にわかれて来場のみなさんとディスカッション、白熱した議論が交わされました。当日はじめて知り合った方同士が、主張・反論の根拠を示しながら議論を深めました。仕事帰りの時間に、そして夜遅くまでご参加いただき、本当にありがとうございました。また、アカデメイアカフェのシリーズ化の構想もありますので、ぜひ今後の展開にもぜひご注目ください。

今回、会場・企画協力していただいた、生きている珈琲さんのご紹介。

コーヒー専門店 生きている珈琲
京都府 京都市下京区立売東町 みのや四条ビルB1F/阪急河原町駅より歩いて3分

webサイトはこちらです。
http://ikiteiru.com/hpgen/HPB/categories/4259.html

四条のカフェでイベントやります!

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来月の京都アカデメイア・イベントのお知らせです。

来月6月に京都アカデメイアは街場のカフェでイベントを開催します。

今回のお題は「経済成長」! いま注目の「アベノミクス」の話題から、経済成長推進か、それとも脱成長を考えるべきなのかという問題に挑戦します。前半はプレゼンテーション、そして、後半は来場の皆さんと一緒に考えます。久々の京アカハウス以外でのイベントです。ご都合の合う方はお気軽にご参加ください。

テーマ:
アカデメイアカフェ~経済成長 Yes or No?

最近はアベノミクスが話題になっています。一方で、日本は経済成長主義を改めたほうが良いのではないかという意見もあります。経済成長か脱経済成長か?
 美味しい珈琲を飲みながら、皆で議論してみませんか?予備知識は必要ありません。「新しい知のスペースをつくる」京都アカデメイアが主催するカフェイベントです。」

・プログラム
 第1部 プレゼンテーション 経済成長推進 or 脱成長/プレゼンター:大窪善人、百木漠
 第2部 ディスカッション in 生きている珈琲

・出演
 百木漠(京都大学 人間・環境学研究科博士課程)
 大窪善人(佛教大学 社会学研究科博士課程)

・日時: 6月7日(金)午後8時開場、8時15分開始

・会場: 生きている珈琲(四条 ジュンク堂書店東側スグ)
 http://ikiteiru.com/hpgen/HPB/categories/4259.html

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・参加方法: ドリンク一杯で参加できます。途中入退出も自由です。当日 直接会場までお越しください。

・主催:京都アカデメイア
・協力:生きている珈琲

・連絡先: kyotoacademeia@gmail.com

アカデメイアカフェ活動報告

先月の11月17日(土)に第5回アカデメイアカフェを開催しました。

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サクラカフェ

今回のカフェは下鴨にあるサクラカフェに場所をお借りしました。近所には府立植物園や洛北高校があって、店内も落ち着いた雰囲気の素敵なお店です。当日はあいにくの天気でしたが、それにもかかわらずたくさんの方に参加していただきました。ほぼ初対面同士によるディスカッションということで、いわばインスタント的に議論を広げていくという形式でしたが、結果的に楽しんでいただけたなら幸いです。

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今回のテーマは「食」にまつわるあれこれについて広く考えてみようという趣旨で、食生活と健康についての身近な疑問から、食育、便利で快適な食品生活の功罪など、話題も多岐に渡って展開しました。(ところで、毎日規則正しく三食摂っているという人が多かったのはちょっとした驚きでした。)

しかし、なぜ「食」なのでしょうか? 人は誰しも食べ物を摂ることなしでは生きていけません。その意味では食は人間生活の基本的条件のひとつです。また、それだけでなく人は食材を煮炊きすることで料理を発明したり、独自のアレンジを加えることで多様な食文化や生活様式を発展させてきました。これらは人間の特徴といってもよいでしょう。

考えてみれば、食は話題には事欠かないくらい身近な存在です。たとえば、日本では毎日数えきれないくらい多くの食品が生産・流通しています。また、街を歩けば料理店が目に入らない場所を探す方が難しいくらいです。しかし、その一方で、食中毒や農薬、遺伝子組み換え食品、BSE、食品偽装、放射能汚染の問題などの食の安全や、肥満やメタボリック・シンドローム、ダイエットなどの健康の問題、そして食料自給や世界中の飢餓、食料危機の問題などとも結びついています。

今回の企画では触れることができなかった論点もたくさんありましたが、当日のディスカッションで気づいたのは、食についての話を周囲の人たちとする機会がこれまであまりなかったということです。もちろん、それには一般的な理由が考えられます。一つには、あまりにも身近な問題であるために、話していても気に留めないということもあるでしょう。しかし、もう一つ重要な理由は、「食」についてのさまざまな問題が、本当は根本的な部分で倫理や道徳的な問題にかかわっているからではないでしょうか。

たとえば、毎日何気なく飲んでいるコーヒーの豆は、じつは過酷な労働を強いられている途上国の労働者によって作られたものかもしれない。私たちがそのコーヒー豆を購入し消費することで、知らず知らずのあいだに悲惨な状況に加担しているかもしれない。あるいは、もっと根本的なことは、そもそも食べるということによって他の生き物の命を奪っているということです。しかし、食品がより安全で快適で早く提供される一方で、その背後でどのような仕組みが作動しているのかが見えにくくなってもいます。

現代の食の問題を包括的に取り上げた『食の終焉』によれば、食は本来、ほかの商品とは根本的に異なっているものであるといいます。にもかかわらず、スニーカーやDVDなどと同じように、食も経済システムに組み込まれていることが、さまざまな問題の原因になっていると指摘しています。けれども、そうした問題がわかったところで、いますぐに根本的な解決が図られるわけでもありません。ある参加者の方が言った印象的な言葉があります。「こうして色々な問題がわかっても明日から自分自身の食生活は変わらない気がする。またこれまでの(不健康な?)生活を続けていくのだろう」、と。しかし、その通りかもしれません。個人でできることには限界があります。あるいは、より良い選択ができるのは限られた余裕のある人だけかもしれません。

今回の企画では、正しい答えを見つけたり、ある特定の考え方を推奨することは意識的に避けました。むしろ、日常の食事や生活が、さまざまな要素や問題とつながっているという複雑さ、あるいは繊細さにお互いに気づき合うというところにポイントをおきました。一見遠回りにもみえますが、このような営みは、ものごとについて深く考えるということにとって、あるいは実践的な観点からみて決して無意味なことではないはずです。なぜなら、それぞれの意識が変わることは、同時に、その行為の意味が変化することでもあるのだから。

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ディスカッション風景

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サクラカフェ・ブログはこちら。
http://ameblo.jp/rarara-sakura-cafe/

大窪善人

第5回アカデメイアカフェのお知らせ

百木です。次回イベントのお知らせです。

<アカデメイアカフェ第5回>
テーマ:「たべるをつくる たべるとくらす ~ダイエットから自給自足まで~」
日程:11月17日(土)14~16時
場所: 京都市左京区下鴨花園町 サクラカフェ

(詳しくはリンク先参照 http://ameblo.jp/rarara-sakura-cafe/ )

今回のアカデメイアカフェは今までとは少し趣向を変え、実際のカフェをお借りして開催することとなりました。場所は洛北高校のすぐ近く、閑静な住宅街で営業されているサクラカフェさんです。
アットホームな店内でお茶会を楽しみながら、ざっくばらんなディスカッションをして頂こうと考えています。

テーマはズバリ、「食」。
私たちの日常生活を考える上で、食べ物についての関心や悩みは欠かすことができません。
おいしいものが食べたい、健康的な食事を心がけたい、はたまたダイエットで悩んでいる、といった個人的なことから、食の安全をどう確保したらいいか、世界的な食糧危機が叫ばれる中で私たちの生活はどのような変化を被るか、といった社会的なことまで、テーマは多岐に渡ると思います。
今回はこうした「たべる」をめぐる様々なことについて語り合います。いつも以上に間口の広いテーマですので、あまり難しく考えず、お気軽にご参加下さい。

なお、参加費という形ではありませんが、今回はサクラカフェさんでの開催ということで1ドリンク制とさせて頂きたいと思います。ご了承のほど、よろしくお願い致します。

参加を希望される方は京アカのメールアドレスkyotoacademeia[at]gmail.comまでご連絡よろしくお願い致します。
皆さま、ふるってご参加下さい。

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第4回アカデメイアカフェ「ハシズムを考える」まとめ

百木です。先日の第4回アカデメイアカフェ「ハシズムを考える。」の簡単なまとめです。論点が多岐にわたったので、とてもすべての議論を網羅することはできませんが、大まかにでも当日の雰囲気が伝わればと思います。

当日の参加者は15名程度でした。大学生と社会人が半々程度で、アカデメイアカフェに初参加の人と以前参加したことがある人も半々程度だったと記憶しています。いわゆる「ハシズム」に対して強く言いたいことがある!という人と、正直に言ってこれまで橋下徹市長に強い関心を持っていなかったがなんとく興味をもって参加してみたという人も両方いて、(結果的に)バランスの良い構成になったかなと感じています。

◆橋下改革の政策内容について(前半)

議論の始まりは、橋下市長の文化政策についてでした。橋下市長は、財政改革の一環として、交響楽団や文楽協会や児童図書館への補助金を大幅カットor廃止するなどの政策を進めてきました。この文化政策にたいして、「橋下さんは自分の価値観で理解できないオーケストラや文楽などの伝統文化をすべて切り捨てようとしているのではないか」という意見が出ました。橋下市長個人の価値観を大阪全体の政策に反映しようとしているのはけしからん、という意見です。この意見にたいしては、しかし大阪市・府の財政状況が厳しいことは事実で、市民・府民の税金を使ってそういった文化を補助し続けることは果たして適切といえるのか、なぜオーケストラや文楽などのハイ・カルチャーだけが特権的に保護されるべきといえるのか、といった反論が出ました。

この件に関して、橋下市長がよく言っているのは「伝統文化も大衆娯楽も、同じ土俵で競争するべき」ということです。自分は別に文楽などの伝統文化が悪いと言っているのではない、ただそれらが伝統文化であるというだけで無条件に補助金を受けていることが問題なのであって、補助金なしに市場競争で勝ち残るなら何の問題もない、と。いわば橋下市長は、これまで特権的に保護されてきた伝統文化に市場的な「競争原理」を持ち込もうとしているわけですが、これはなかなか難しい問題だと思います。文化や芸術に愛着のある人にとっては、そういった文化や芸術は市場競争の中では生き残っていくのが難しいので、補助金をつかって保護されるべきだし、そのことが大阪(あるいは関西)にとってもプラスになるはずだ、と主張します。他方でそういった文化や芸術にさほど思い入れのない人にとっては、それらの文化も吉本のお笑いや他のエンターテイメントと同様に市場競争の枠組みで切磋琢磨すべきではないか?という意見になるでしょう。

議論はここから発展して、伝統文化・芸術は公的に保護されてでも伝承されるべきという「京都のお公家さん」的志向と、伝統文化も大衆娯楽も同じ土俵で戦えば良いのでは?という「大阪の庶民」的志向の違い、などにも話が及びました。さらに、大阪には地域の文化や伝統を担っていく「町衆」的存在があまり残っていないのではないか(そういった人々は阪神神戸あたりに移住してしまった?)といった意見も出て、どこまで信憑性があるのか僕自身は判断できないのですが、議論は盛り上がって興味深かったです。

これまで公的に保障されていた分野に「競争原理」を持ち込もうとする橋下市長の態度は、文化政策に限ったものではなく、教育や地域自治、社会保障、公共サービスなどに関しても共通して見られるものです。4年間の「橋下改革」をまとめた記事がしんぶん赤旗に載っていますが、中小企業予算の大幅カット、敬老パスの有料化、学童保育の補助金廃止、区民センターの統廃合、公共交通機関の民営化促進などが「改革」の内容として挙げられています。やまもといちろうさんがブログで「しんぶん赤旗の橋下徹批判が、読む人にとっては絶賛にしかなっていない件」という記事をあげてらっしゃいましたが、これらの改革内容を肯定的に捉えるか否定的に捉えるかで橋下市長への評価が別れるところでしょう。

また、「大阪の財政は苦しいと言っているが、他地域から見ればとてもそんな風には見えない。大阪の中心部はあんなに栄えているし、裕福な人もたくさん住んでいるではないか、大阪が貧しいなんていうのは嘘ではないか」という意見もありました。これに対しては、大阪出身の方などから「それは大阪の一面的な部分しか見ていない、中小企業や自営業などで働いている大阪庶民の暮らしはかなり苦しい」という声があがりました。この点についても、人によってまったく見え方が違うところなので難しい問題です(この点に関して、明確な答えは出ませんでした)。

さらに、どういった層が橋下市長を支持しているのか?という疑問も出ました。比較的に裕福な層が支持しているか、それとも意外に低所得層が支持しているのか(小泉純一郎フィーバーの際には、結果的に自分の首を絞めることになるであろうに、低所得者層が小泉氏を支持したことが話題なりました)。後日、社会学者の櫻田和也さんが分析しておられる橋下支持率と区分析を見ると(平均世帯年収老齢人口率失業率転入率)、基本的には平均年収が高く老齢人口率が低い区ほど支持率が高いようなので、少なくとも一口に「低所得若年層が橋下を支持している」とは言えなさそうな気がします。この点については、他に分析した論文などもあるようで、検討が必要なところでしょう。

◆橋下改革の政策手法について(後半)

カフェの後半は、橋下市長の「政治手法」をめぐってでした。橋下市長の政治手法の特徴としては、1)メディアパフォーマンスが上手い、2)世論の支持を味方につける、3)トップダウン式に強引にでも改革を進める、などが挙げられるでしょう。これらを一言でまとめれば「ポピュリズム」的手法だと言うことができるかもしれません。ときには嘘をついたり、違法スレスレの手段を使ってでも、「スピーディーな改革」を実現しようとする姿勢には「独裁的」との批判もありますが、橋下市長本人も「改革のためにはある種の「独裁」が必要だ」と開き直った発言をしています。
その背景には、多くの国民が民主党政権にたいして感じている「決定できない民主主義」への不満・苛立ちがあると考えられます。消費税を上げる・上げないをめぐっても延々と議論がもめていて重要な決定が何もなされない、311後の対応も後手後手に回っていて復興がなかなか進まない、など。そういった閉塞感を打ち破る存在として、橋下市長の「決断主義」「独裁主義」が支持を集めているのではないか。

このような橋下市長の改革手法は本当に「強引」と言えるのか?という疑問も出ました。これに対しては、4年に1度の選挙で代表者を選び、その人に対して「白紙委任」をするという現在の間接民主制じたいに問題があるのではないか?という大きな問いが出されて議論が広がりました。つまり、選挙時点ではすべての細かい政策方針について同意したうえで立候補者に投票するわけではなく、その立候補者の全体的なイメージや大きな政治方針に賛同して投票したにすぎないところが、実際にその立候補者が当選して政策を実施する段になると、様々な面で有権者と政治家の間で意見の食い違いが起こってきてしまい、当初の期待が裏切れてしまう結果になる、ということです。こうした間接民主主義の限界をどのようにして乗り越えればよいのか?という所までは答えが出ませんでしたが、ハシズム・橋下現象をきっかけにして、こうした大きな政治論点にまで議論が及んだのは良かったのではないかと思っています。

また、個々人の思想信条にまで介入し、憲法に違反するような政策を実施する(君が代条例問題、職員への思想調査アンケートなど)ような橋下市長の政策は絶対に許すことができない、という「全否定」派と、全面的には賛同できないけれども個々の政策によっては支持できる部分もあるのではないか、市民の側がうまく橋下市長をコントロールしていくことも可能ではないか、という「是々非々」派との間でも意見が別れました(橋下市長全面賛成派はいなかったように思います)。これについてもどちらの意見が正しい、という明確な答えは出ませんでしたが、アカデメイアカフェは明確に一つの結論を出すことを目的としているわけではなく、様々な立場の人が集まって様々な意見を交換しあい、ひとつの社会問題に対していろんな意見をもった人がいるのだ、ということを理解してもらえれば良いと考えているので、これで良かったのではないかと考えています。

以上、長文でとりとめない内容となりましたが、おおまかにでも当日の議論の雰囲気が伝われば幸いです。今回のアカデメイアカ フェは参加者も多めで、年齢層や属性も幅広く、議論も白熱して大変良い会になったのではないかと自負しています。最後に一言ずつ感想をもらったのですが、 今回の議論をきっかけにして橋下改革に関心が湧いた、普段は聞けないような話が聞けてよかった、自分とは異なる立場の人の意見が聞けて思考の幅が広がっ た、などと言っていただき大変ありがたかったです。また今後も定期的にこのようなイベントを開催していければと考えていますので、みなさんどうぞよろしく お願いします。機会があればいつでもお気軽にご参加ください。