イベント」カテゴリーアーカイブ

話題の本がわかる! Vol.03 『ヤンキーと地元』振り返り

 

6月29日、京都・左京西部いきいき市民活動センターにて「話題の本がわかる! 」イベント第3回を開催いたしました!

話題の本の要約を紹介し、「気になっていたけどまだ読んでいない人」にも参加してもらえるというこの企画、今回は、今年刊行された打越正行さんの『ヤンキーと地元』(筑摩書房、2019)を取りあげました!

打越さんは、「暴走族のパシリ」として参与観察を始めた社会学者。本書は、沖縄の若者たちの取材から、その生活世界を記述した労作です。

「ヤンキー」といえば、京アカではかつて斎藤環さんの『ヤンキー化する日本』を「批評鍋」イベントで取りあげています。しかし、「バッドセンス」や「ノリと気合い」といった「ヤンキー」的文化に焦点を当てた斎藤本とは、今回はまた全然異なる切り口。「ヤンキー」といえば家族や仲間の絆を尊ぶイメージをもたれることがありますし、沖縄という土地もまた「ゆいまーる」の語に象徴されるようなユートピア的イメージをもたれがちですが、本書では、沖縄の若者たちにとってたしかに切り捨てがたい地盤でありながら、けっしてユートピアでもなく優しいものでもない「地元」の世界が明らかにされていきます。

 

要約担当は村田。要約といっても、個々のエピソードや具体的な記述が面白い本であるのでなかなか難しかったのですが、雨にもかかわらず皆さん集まっていただき(新規の参加者も!)、議論(や雑談)が弾みました。本の具体的なエピソードについての談義、参与観察という方法についての談義、「本書がこれほど話題になったのはなぜなのか?」「ヤンキー論として、また沖縄論として、どの点が新鮮な発見であるのか?」という話、などなど。

当イベントは続く予定であるので、参加者のみならず、要約担当も引き続き募集中です! 気になっている本を読んでみる機会とするのもよいかと思います。

私もこの機会に、ずっと気になっていた本が読めてよかったです。レジュメを作るにあたっては、関連本も読み直したり新たに読んだりしました。新たに読んだものとしては、特に、暴走族の参与観察として有名な『暴走族のエスノグラフィ』(佐藤郁哉、新曜社、1984)が面白かったです。若者の金銭的・時間的豊かさという観点から暴走族を分析しているくだりは、80年代当時と現代との違いを思うなどしました。

 

 

 

 

【イベント】話題の本がわかる! Vol.03 打越正行『ヤンキーと地元』

京アカイベント「話題の本がわかる」vol.3 を10月18日(金)19:00~21:00 に左京西部いきいき市民活動センターで開催することになりました。今回扱う本は、打越正行『ヤンキーと地元』(筑摩書房2019)です。

日時:10月18日(金)19:00~21:00

場所:左京西部いきいき市民活動センター → http://gekken.net/SW_IKIIKI/access.html

打越さんは暴走族の「パシリ」として参与観察を始めた社会学者。本書はさらに、沖縄の「地元」で生きる「ヤンキー」たちへの取材から、その生活世界を記述していきます。要約を用意しますので、「気になっていたけどまだ読んでいない人」も「読むの面倒くさいけど概要だけ知りたい人」も安心してご参加ください。要約担当は村田智子さんです。

 

〈話題の本がわかる!〉

「気になっていたけどまだ読んでいない」「読むの面倒くさいけど概要だけ知りたい」も安心してご参加ください。担当者による書籍内容の要約&ディスカッション形式で構成します。

話題の本がわかる! Vol.02 『ライフ・シフト』振り返り

6月29日、ゲストハウス・カンノコにて「話題の本がわかる! 」第2回を開催しました。

今回取り上げたのは、L・グラットン&A・スコット『ライフ・シフト』(東洋経済新報社、2016年)です。

本書は2016年の発売ながら、いまだベストセラーとして読まれ続けている話題の本です。先日話題になった、金融庁の「老後資金2000万円不足報告書」問題に象徴されるように、現行の制度は、長寿化の動向にまったく対応できていません。その意味で、わたしたちが「人生100年時代」の将来を考えることは、切実な課題なのだと思います。

本書の特徴は、100年ライフをたんにお金の問題だけで見てはいけないという主張です。たとえば、健康や人間関係、余暇時間といった「無形の資産」の重要性が、今後ますます増してくるといいます。

「無形の資産」とお金を生み出すには、時間の使い方がカギになります。余暇をたんなる暇つぶしとして浪費する(=レクリエーション)のではダメで、これからは人生が”マルチ・ステージ化”するので、リ・クリエーション、つまり、新しいスキルを身につける講座を受けたり、金融リテラシーを磨いたり、身体を鍛えたりする”自己投資”こそが求められるのだと。

イベントでは、ナビゲーターが本の内容を紹介し(ちょっと丁寧にやりすぎたかもしれませんが…)、そのつど参加者から質問やコメントをいただきました。

そのなかで出た意見として、「無形の資産」という見方は面白いが、結局は”いかに経済資産を築くのか”という話でしかないのでは、という手厳しいコメントもありました。

たしかに、現行の経済や社会の仕組みを前提に、もっぱら個人が必死に努力して生き残っていくという見立ては、どこか息苦しさも感じます。リ・クリエーション(再創造)とは、せいぜい所与の環境に働きかけるのであって、世界を一から創造するクリエーションではない、ということなのかもしれません。

ともあれ、経済学からみたライフ・プランとしてはとても面白いと思うので、未読の方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。


これまでのイベント
第1回 新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

Text:Yoshio Okubo

話題の本がわかる! Vol.02 『ライフ・シフト』

〈話題の本がわかる!〉 Vol.02は、L・グラットン&A・スコット『ライフ・シフト』を取り上げます。

2016年の発売以来大きな反響を呼んでいる本書。「人生100年時代」とも呼ばれる長寿化が進む現代。その一方で、個人や社会もそれに対応する準備ができていないと警鐘を鳴らします。

これからの私たちの仕事や家庭、お金との関係はどうなるのか。新時代を生きるための必読書の一つでしょう。読もうと思って積んだままになっている方も、ぜひこの機会にご参加くださいませ。

日時:2019年6月29日(土)17時30分〜19時30分(予定)

場所:ゲストハウス・カンノコ(地下鉄北大路駅徒歩5分)

※参加無料・予約不要

〈話題の本がわかる!〉

「気になっていたけどまだ読んでいない」「読むの面倒くさいけど概要だけ知りたい」も安心してご参加ください。担当者による書籍内容の要約&ディスカッション形式で構成します。

本企画に関するお問い合わせ等については、お問い合わせフォームまたはkyotoacademeia□gmail.com(□に@を入れてください) までお尋ねください。

イベント「話題の本がわかる! 」振り返り

4月27日、ゲストハウス・カンノコにて「話題の本がわかる! 」第1回を開催しました。

今回取り上げたのは、新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018年)。

イベントでは、舟木徹男(京都アカデメイア)が、図書の内容をまとめたレジュメをもとに解説し、後半、参加者を交えたディスカッション…という予定でしたが、冒頭から次々と疑問や意見が行き交い、会場は大変盛り上がりました。

とくに印象的だった議論に、そもそも「知能」とか「意味を理解する」というのは、どういうことなのかというものがありました。

ナビゲーター:舟木徹男

本書では、AI(人工知能)が苦手とする「読解力(意味の理解)」を鍛えることが、子どもたちの教育には必要だと主張される一方、イベントでは「大人でも読解力が十分あるとどこまで言い切れるのか」、読解力の背景には、「常識」、ある前提の共有(コモンセンス)があるのではないか、じつは「常識」と言われていること自体にも偏りや排除の問題があるのではないか、などの意見が出されました。

ヒトの知能についてはまだまだ未知の部分も多いといいますが、ひょっとすると、そこに、AIにできる仕事、できない仕事を見極めるヒントがあるのかもしれません。

ご参加いただいた皆さまには、ありがとうございました。

守田敏也さん講演「内部被曝からの命の守り方」動画公開

2018年5月12日(土)に左京西部いきいき市民活動センターで行われた守田敏也さん講演「内部被曝からの命の守り方」の動画を公開しました。

参加者が少ないのがもったいないと思うほどわかりやすくお話いただきましたので、よろしければご視聴ください。

それでは今後とも京都アカデメイアをよろしくお願いいたします。

憲法読書会のお知らせ

こんにちは、京都アカデメイアの大窪です。
今週28日の読書会イベントを開催します。

政府が現憲法の改正に意欲を見せる昨今。
憲法は変えるべきか、変えるべきでないのか…。
問題の肝を捉えるには、「そもそも憲法って何なの?」という根本的な理解が重要です。そこで読書会では、憲法にかんする書籍を輪読することで、理解を深めたいと思います。

今回のテキスト:篠田英朗『ほんとうの憲法』(ちくま新書)

日時:12月28日(金)13時~
場所:JR二条駅改札前集合(13時)
参加費:無料

当日は私(大窪)がテキストの内容をレジュメにまとめてきますので、それを下敷きにディスカッションします。

参加希望の方は、
kyotoacademeia@gmail.com までご連絡ください。

【告知】 第5回 京アカゼミ「ハンナ・アーレント入門」開催!

 
京都アカデメイアの会員が、毎回、自身の専門分野について発表するイベント「京アカゼミ」。
第5回は、「ハンナ・アーレント入門」。近著『アーレントのマルクス』を刊行された、百木漠さんが担当いたします。

 

 
日時:2018年8月16日(木)15時〜17時30分

場所:京都市左京西部いきいき市民活動センター会議室4
※参加無料・予約不要

報告者紹介:百木漠(ももき ばく)  1982年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。2018年4月から立命館大学専門研究員。

本企画に関するお問い合わせ等については、お問い合わせフォームまたはkyotoacademeia□gmail.com(□に@を入れてください) までお尋ねください。
 

これまでの内容はこちら
第4回 アジールの現在と未来/舟木徹男
第3回 別れはなぜ在るのか:『別れの社会学』序説(あるいはその構想)/中森弘樹
第2回 精神分析から見る現代の知のあり方/浅野直樹
第1回 瀬木比呂志の裁判学:いわゆる「絶望の裁判所」論をめぐって/岡室悠介

 

【イベント告知】『シン・ゴジラ』で読み解く「平成」という時代

直前ですが、明日 京都市 左京西部いきいき市民活動センターにてイベントを開催します。テーマは「平成」。平成という時代について、映画『シン・ゴジラ』をヒントに考えます。(大窪)

<私達にとって平成とはどのような時代だったのか。『シン・ゴジラ』に秘められた謎を読み解くことで、平成、そして、次の時代を展望します。>

日時 : 6月2日(土)13:15〜14:45
場所 :  京都市左京西部いきいき市民活動センター
報告者:大窪善人
※参加費無料

左京西部いきいき市民活動センターHP

守田敏也さん講演「内部被曝からの命の守り方」

日時:2018年5月12日(土) 3:30 ~ 6:00
場所:左京西部いきいき市民活動センター(京阪出町柳駅5分)
参加費:無料(カンパ制)

NPO法人京都アカデメイアでは、この度ジャーナリストの守田敏也さんをお迎えし、内部被曝の実相と被曝防護の方法について講演していただく運びとなりました。福島原発事故から七年経過した現在、改めて内部被曝の危険について認識を深められるよい機会です。多数のご参加をお待ちしています!

【守田敏也さんprofile】

同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に関する研究を進めておられます。著書に『内部被曝』(矢ケ崎克馬氏との共著、岩波ブックレット2012年)『原発からの命の守り方』(海象社2015年)。

【守田さんからのメッセージ】

「福島原発事故以降、福島は言うに及ばず、東北、関東、東京でもさまざまに深刻な被曝影響が出ています。ところが政府もマスコミもほとんどそれを取り上げず、多くの事実が隠されたまま。実はこれは広島・長崎への原爆投下から今日まで続けられてきたことです。隠されて来た被曝をめぐる真実、とくに内部被曝の実相と、被曝防護の真の方途に迫ります!」