京都アカデメイア塾の「論文の読み書き」クラスで要約を作ったのでここに載せておきます。
【要約】
ガンの原因がつきとめられるなど、医療技術の進化によって日本人の平均寿命が伸び続けている。ところが他方で高齢者の孤独死を懸念する声もきかれるようになっている。この対照は「寿命」が宙に浮いていると表現できる。平均寿命50年時代の死生観がゆらぎはじめているのである。
その死生観とは死を引き受け覚悟することが生きることであるというものである。日本では地震、津波、台風などの自然の脅威が大きいので、自然に逆らうのではなく順応するという天然の無常という感覚がつくりあげられ、これがその死生観の芯となっていたのである。
現在の長寿社会では生が延長されて死が遠くに切り離されている。私たちはここでもう一度死生観という人生モデルを思いおこし、これからの人生をあらためて歩みだすときにきているのではないだろうか。
本文の正確な理解を前提として、年金などの制度問題と死生観をごっちゃにしているのではないか、死を強調しすぎると例えば延命治療などを要求しづらくなるのではないか、といった本文に対する批判的な議論もしました。