この度、当法人会員の岡安裕介さんの論文「精神分析と民俗学・民族学との思想的交錯―柳田国男の「無意識伝承」を中心に―」が『精神医学史研究』 Vol.19 no.2に載せられたので、お知らせいたします。目次は『精神医学史研究』 Vol.19 no.2にあります。
柳田国男(日本民俗学)とS・フロイト(精神分析)は、新たな学問の創設者として思想家として日本では特に人気が高く、両者の思想はしばしば併記され論じられております。しかし、両者の影響関係については今まで論じられることはありませんでした。この論文では、柳田の蔵書や学問的交流を手がかりに、彼がフロイトの思想に影響を受け、民俗学の方法論を構築していった過程が論証されています。フロイトの思想が民俗学に流入しているという事実は、精神分析、民俗学、現代思想などの幅広い分野において、少なからぬ衝撃をもたらすのではないでしょうか。