京都アカデメイア塾」カテゴリーアーカイブ

「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む」を開催しました

 
8月4日、山の学校で「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む」を開催しました。ご参加いただきありがとうございました。

告知エントリ

宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」を題材に、社会の中で生きるということについて考えました。

IMG_3997

「銀河鉄道の夜」は、幻想的な寓意に満ちた作品です。「銀河」「鉄道」「どこまでも行ける切符」「駅」「ほんとうのさいわい」「離陸」「帰還」… それはさながら、線というよりは点の布石が、やがて図形になったときの驚きに似ています。そして、物語をこえて想像力が惹起されるのは、線と線との思いがけない繋がりを見つけたときです。

IMG_3971tなんと、教室の上に賢治の「雨ニモマケズ」の書が掛けてありました(!)

賢治の生家は熱心な真宗の家系だったといいます。また後年には日蓮宗の信仰に入ってきます。たしかに賢治の作品には、端々に一種の宗教的な信仰を見て取れます。では、賢治の作品はひとつの宗教的なメッセージを伝える作品なのでしょうか。

ところで、「銀河鉄道の夜」には「ここが自分の降りるべき駅だ」と言って汽車を降りていく人たちが描かれます。社会学者 真木悠介=見田宗介さんは、「ひとつの宗教を信じることは、いつか行く旅のどこかに、自分を迎え入れてくれる降車駅をあらかじめ予約しておくことだ」と言います(『自我の起原』)。しかし物語の主人公であるジョバンニの切符は、終点のない「どこまでも行ける切符」なのです。

ある宗教を信じるということは、ここではない「彼方に」ほんとうの答えを描くということです。しかし、ジョバンニの旅は、その「彼方」さえも越えて行こうとすることではないでしょうか。「いまここ」や「彼方」には答えはない。しかし、「ここではないどこか」という否定的ヴィジョンにおいては、ほんとうの答えがあるかもしれない、と。

「銀河鉄道の夜」の、そして賢治の作品の魅力は、そんな宗教すら越えていこうと探求する心にあるのではないか、そんなふうに思います。

 
<関連記事>
映画『誰も知らない』から「幸いとは何か」を考える
 

8月4日 山の学校で「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む」を開催します

 

8月4日に北白川学園 山の学校で京都アカデメイア・イベントを開催します。

世界に触れる社会学
―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む―

銀河鉄道の夜2

詩人・童話作家の宮沢賢治の作品 『銀河鉄道の夜』を読み解きながら、現代社会における「自我」の問題、「社会」の問題、そして、わたしたちが社会を生きることについて考えます。

8月4日(水)16:00~
北白川学園 山の学校
(京都市左京区北白川)
講師:大窪善人
参加費無料、要事前申込み※
主催:京都アカデメイア
協賛:山の学校     

場所は瓜生山・京都造形大近くにある素敵な場所ですので、ぜひお越しください。

※申込みは、京都アカデメイア kyotoacademeia@gmail.com までご連絡ください。

 

「やっぱり知りたい!京都学派」 第1回「京都学派MAP」を開催しました

 
いよいよ、満を持してスタートした「やっぱり知りたい!京都学派」/中島啓勝 (京都アカデメイア塾×GACCOH/やっぱり知りたい!シリーズ)の第1回目「京都学派MAP」を開催しました。

告知エントリ

全3回シリーズで、初回は「京都学派」がどうして生まれたのかという誕生前史から、西田幾多郎、田辺元、三木清をはじめとする主要メンバーの相関関係までをレクチャーしました。

IMG_3897

大正期の教養ブーム、そして、「非東大」を掲げて独自路線を選んだ京都大学の位置づけなどの背景知識を押さえつつ、「京都学派」の誕生に迫ります。

kyoutogakuha

参加者のために中島さん、GACCOHさんが手作りした「京都学派人物カード」。授業の進行に合わせて並び替えたりメモを書き入れたりと楽しく学べました。

IMG_3888

次回の「思想編」もどうぞお楽しみに!

文・写真:大窪善人

 
<関連記事>

京都アカデメイア塾 中島さんの個人授業も受付中です。
【京都アカデメイア塾】 授業紹介:京都学派をまなぶ
授業紹介:京都学派をまなぶ/YouTube
鉄板classe vol.1『あさりが教えるボクらの未来』を開催しました
 

青谷正妥先生から学ぶTOEFL

京都アカデメイア塾で英語クラスを担当している浅野です。今はその英語クラスでTOEFL対策をしています。どのように学習すればよいかを調べていたら、青谷正妥先生にたどり着きました。

 

本人による公式サイトはTrue Blue: 挑戦は続き続ける | 青谷正妥(あおたにまさやす)です。 ただしこの公式サイトはあまり整備されていません。青谷先生の実力を疑う人はまずTOEFL_iBT_Hong_Kongを見てほしいですし、動画が見たければhttp://aoitani.net/Go_on_AOTANI.wmv(衛星放送の録画への直リンクで、個人使用のみだそうです)にあります。

 

英語学習についての本は以下の2冊が出版されています。

 

 


英語学習論 : スピーキングと総合力

朝倉書店(2012年11月15日)

 

 

そのエッセンスはhttp://aoitani.net/TOEFL_Speech/TOEFL_Speaking_2009.pptのスライドにまとめられています。TOEFLiBTのSpeakingで問われるような、体で覚える手続き的知識が強調されています。

 

この本やスライドにも書かれていますように、http://aoitani.net/TOEFL_Speech/TOEFL_Speaking.docにはTOEFLiBTのSpeakingと同じように15秒考えて45秒話すという練習のための設問が非常にたくさんあります。私も今これを使って練習させてもらっています。ありがとうございます。自由会話などの他の練習問題や青谷先生によるサンプルアンサーもhttp://aoitani.net/TOEFL_Speech/から探すことができます。事実を即座に英語で表現するための題材はhttp://aoitani.net/Facts.doc、意見を即座に英語で言うための題材はhttp://aoitani.net/Opinions.docです。Writingをネイティブの方に直してもらったものはhttp://aoitani.net/Essay_Corrections/にあります。最初に示すべきだったかもしれませんが、TOEFLiBTの手引きはhttp://aoitani.net/TOEFL_iBT_Guide.docです。

 

そりゃこれだけやったらできるようになるだろうという根性論も彼の方法の特徴です。私もそうした考え方が嫌いではありません。

 

ところで、なぜこの記事中で青谷「先生」と表記しているかと言うと、私(浅野)自身、実は10年以上も前に青谷先生の英語講義を受けたことがあるからです。国際交流センターの近くに池があった頃は、亀か何かの生き物を観察している先生のお姿を見かけることも度々ありました。今もお元気に活躍されているようだとわかり、うれしく思うと同時に改めてすごさを感じたので、感謝と敬意(と自分の便宜)を込めてまとめさせていただきました。

 

7月24日開催 世界に触れる社会学#03「父なき時代」における家族の行方

 
7月24日(金)に世界に触れる社会学#03「父なき時代」における家族の行方 を開催します。

京アカ塾03 家族
 
京都アカデメイア塾「世界に触れる社会学」第3回のテーマは「家族」です。
従来、家族の中で父親が果たす役割は、”切断”や”秩序”、”倫理”などの規範的なカテゴリーにおいて捉えられてきました。しかし、いまやそのような「偉大な父親」というモデルは、どのくらいリアリティのあるものでしょうか。いわゆる「父性の弱体化」が生じた背景にはどのような理由があるのでしょうか。また「父(性)なき時代」における父親の役割としてどのような形が考えられるでしょうか。そして、そのことが与える社会的な影響はどのようなものでしょうか。一緒に考えてみましょう。
 
日時:7月24日(金)、19:00-21:00
場所:京都出町柳 GACCOH/参加費:1,000円
講師:大窪善人
 

7月18日 「やっぱり知りたい!京都学派」 第1回「京都学派MAP」

 
京都アカデメイア塾×GACCOH(やっぱり知りたい!シリーズ)とのコラボ企画、いよいよスタートです!

Kyouyou kyotogakuha main
 

「やっぱり知りたい!」シリーズ第2弾では、日本発の独創的な哲学・思想家集団「京都学派」をご紹介します。

観光地として名高い「哲学の道」の名前の由来となった、日本を代表する哲学者である西田幾多郎(1870-1945)。彼はその主著『善の研究』によって学術界を越えた幅広い読者を得、全国から若き哲学徒たちがその高名を慕って京都大学の門を叩くほどになりました。その後、西田の周囲に集まった同僚・後輩・弟子たち等は、いつしか「京都学派」と呼ばれ大きな存在感を示すようになったのです。

第1回「京都学派MAP」では、西田幾多郎、田辺元、三木清といった中心人物たちを紹介しながら、何故、どのように、この京都の地で空前絶後の思想ムーブメントが巻き起こったのかを見ていこうと思います。第2回「京都学派と哲学」では、西田が展開した「無の哲学」がどのような影響を与えていったかを、田辺元の「種の論理」や、「京都学派」が戦後大きな批判に遭うきっかけとなる「世界史の哲学」などを中心に解説していきます。知識人と戦争、哲学と政治という普遍的な問題がここでも問い直されます。そして第3回「京都学派と現在」では、戦後空間においてタブー視にも近い扱いを受けてきた「京都学派」の哲学はどのような現代的意義を持つのかについて考えていこうと思います。(ナビゲーター:中島啓勝)

第1回「京都学派MAP」
日時:7月18日(土)19~21時
場所:京都出町柳 GACCOH(京阪電車「出町柳駅」2番出口より徒歩5分)
講師:中島啓勝
参加費:各回1,000円

詳細はGACCOH HPにアップされていますのでご覧ください。
http://www.gaccoh.jp/?p=6583
 

関連記事

京都アカデメイア塾 個人授業 好評受付中です。
【京都アカデメイア塾】 授業紹介:京都学派をまなぶ

 

伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』第4章演習問題答案例

京都アカデメイア塾のクラスのために作成した、伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』第4章演習問題答案例です。

 

第4章 多角化と事業ポートフォリオ
1.
 ビール会社が工場跡地を使って不動産事業へ多角化する場合には、範囲の経済の源泉は遊休資産の活用にある。よってその効果のタイプは相補効果であり、遊休資産の使用には限りがあるのでさらなる多角化への発展性は低い。
 ビール生産に必要な酵母の技術を使って医薬品・バイオ事業へ多角化する場合には、範囲の経済の源泉は技術という資産の活用にある。技術という資産は同時にいくらでも活用できるのでその効果のタイプは相乗効果であり、多角化をすることでさらに技術という資産が蓄えられて、さらなる多角化へと発展する可能性もある。

2.
 既存事業との距離が短い分野への多角化することは、短期的には既存の事業で獲得した資産の転用可能性の高さから多角化に成功しやすいというメリットがあるが、両方の事業が共に衰退した場合にはリスクの分散にならないというデメリットがある。長期的には相補効果・相乗効果により両方の事業で高いシェアを占めることができるかもしれないというメリットがあるが、新しい事業に進出しているのだという心理的効果は比較的小さいというデメリットがある。

3.
 企業のドメインは、完全に事後的に設定されるのでも事前に設定されるのでもなく、中間的に設定されるのがよい。完全に事後的に設定すると、既存の事業に合わせて空疎なドメインを設定しがちであり、そうなることを避けられたとしてもドメインに合わせて今ある事業を整理・縮小することには多大な困難が伴う。他方で完全に事前に設定をするとドメインに合わせて無理な多角化をする、あるいは有効な多角化のチャンスを逃す可能性が高くなり、多角化の現実的可能性が低くなる。状況に合わせて現実的に柔軟に多角化しつつ、その過程でドメインを調整し、適度なドメインが形成されるようにするのが理想的である。

伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』第3章演習問題答案例

京都アカデメイア塾「論文の読み書き」クラスのために作成した、伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』第3章演習問題答案例です。

 

第3章 競争優位とビジネスシステム
(演習問題)
1.
このような、宅配便のネットワークサービスが高度に発達し、コンビニエンスストアの店舗網の密度もきわめて高い環境のものとでのインターネットを使った消費者相手の小売業のビジネスモデルの典型的な発展形態は、自社は商品の仕入れに特化することで、品質に比して低価格な多種類の商品を消費者のもとへと迅速に届けるというものになる。宅配便とコンビニエンスストアが発達していれば商品の配送と受け取りがそれらに頼れるということに加え、代金の収納もしてもらえるので、支払いシステムを自社で構築したりクレジットカードの加盟店になったりする必要がない。さらに、チケットのような定型的な商品であれば、情報さえ管理すればコンビニエンスストアの店舗で発券することもできる。他方でこれらの発達していない国では、流通や支払のシステムをいかに構築するかが大問題になる。

2.
アウトソーシングのメリットはコスト削減と一定の品質の保証で、デメリットは自社のコントロールできる範囲が縮小し差別化が難しくなることである。既存の業務を新たにアウトソーシングするのであれば、その業務に携わっている従業員の不満を高めるというデメリットもある。メーカーが経理業務をアウトソーシングすることは他の製品開発などの業務で差別化することをを意味し、設計業務のアウトソーシングをすることは他の流通や販売などの業務で差別化することを意味すると考えられる。

3.
競争のドメインが広いということはビジネスシステムと製品・市場が広いということであり、取り得る選択肢が多くなる(競争の手段の武器庫が多様になる)とともに、それらを組み合わせることで新たな領域を開発する(懐が深くなる)こともできる。例えばK塾は講師の育成や教材開発も自前で行うほどビジネスシステムが深く、また授業だけでなく模試や出版物も提供するという幅の広さがある。そうすると少子化という逆風の環境になっても競争の手段の武器庫が多様なので、模試を私立高校に売り込むという有効な戦略を取ることができるし、手持ちの資源を生かして大学院入試という新たな市場で勝負できるという懐の深さも見せることができる。

伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』第2章演習問題答案例

京都アカデメイア塾の授業の一環で、伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』(日本経済新聞社、第3版、2003)の第2章「競争のための差別化」の演習問題の答案例を作ったので、公表します。

第2章 競争のための差別化

(演習問題)

1.
CDの使用そのものでの取り合いの相手としてMDやiPodなどの新しい技術産業が、顧客のCDへの支出を取り合う相手として携帯電話産業やアニメ産業などが登場してきた。音質面ではMDやiPodなどのデータはCDとほぼ同等であるので、歌い手との握手券をCDに付けるといった戦略を取るべきである。アニメ産業などとは排他的に競争するのではなくメディアミックスの一環として主題歌やキャラクターソングのCDを積極的に売り出すべきである。

2.
既存の企業が製品の個性化を推し進める場合は、既存の製品とうまくマッチした個性を抽出するという条件が必要である。選んだ個性に応じて製品を変化させるのは組織として難しいだろうし、仮にそれができたとしても顧客は前の製品のイメージを持ち続けることになる。新規参入をする企業が一点豪華主義的に製品の個性化を目指すのであれば、企業名や商品名がその個性に適合し、適切な広告戦略によりそれが顧客に届くという条件が必要である。微妙な差別化の集積をする場合は、集積をすることができるほどの領域をその企業がカバーしていなければならない。

3.
塾産業を例に考える。市場が生まれるときには学校よりもわかりやすく教えるという製品が武器の中心になることが多い。そのあと競争の推移とともに、進路指導などのサービスに、さらには価格へと中心的武器が変わって行く。ブランドはどの段階においても中心的な武器になり得る。塾に通うことが一般的になると顧客が進路指導などのさらなるサービスを求めるようになり、そうしたサービスもおよそ出尽くして塾が均一化すると価格でしか差別化できなくなるからである。