京都アカデメイア塾「論文の読み書き」クラスの報告です。
【要約】
戦後という一つの時代が転換点を迎え、朝日新聞という戦後レジームの象徴が崩れつつある。
一つは吉田調書報道である。その報道記事の中で朝日新聞は「命令違反で撤退」という表現をしたが、後に間違った記事として取り消した。もう一つは慰安婦問題に関わる吉田証言の扱いである。朝日新聞はこの証言を虚偽と判断して、その証言に基づいた記事を取り消した。しかし謝罪の遅れ、訂正記事のさらなる訂正など、恥を上塗りした。
こうした事態の背景にはインターネットの急速な普及がある。以前であればメディア同士が率先して議論するようなことはなかったのであるが、今ではインターネットに触発されてメディア同士が監視するようになった。内閣支持率に与えるマス・メディアの影響力も低下している。朝日新聞はそうした変化に対応せず、旧態依然とした啓蒙的な価値観を維持しているために自滅しつつあるのである。
右翼・左翼の中心的な内容を押さえてから主要な新聞社を右寄り・左寄りに分けて、第二次世界大戦や原子力発電所に対するそれら新聞社の基本的スタンスを確認しました。今回の論点はそうした新聞業界の暗黙の了解を踏まえていないと読みづらいものでした。