人環フォーラム・学生講演企画(2)

(承前)2人目の講演者は、人環M2の嶋田研志郎くん。自然科学系で、修士卒業後は民間企業への就職が決まっているとのことでした。理系の立場から見た人環の現状や課題について語ってくれました。

人環の理系出身で、自分の専門知識や専門技術をそのまま生かして技術職に就職、という人は実はかなり少ない(専門分野外での就職が多い)。その理由は、人環は企業との取引や教授による推薦枠などが少なく、個々の院生が自力で就職活動をするしかないから。
人環は学際的な研究をするという名目を掲げてはいるものの、現状は各分野での専門家を育てることに注力している(しかし専門家として就職するのは現実的には困難)。もし学際的な研究をやりたいのであれば、本当は人環がそれなりの枠組みを用意する必要があるのではないか。しかし、それも実際にはなかなか難しい状況にあるようだ。
また人環の先生や院生も一枚岩ではなく、皆が学際研究をしたい(必要)と思っているわけではない。自分の専門分野以外に興味がない人も多い。せめて人環マインドの高い学生が集まって、学際的な勉強や研究をする仕組みや機会を作ることが必要ではないかと考えている。

学際的(分野横断的)な研究の必要性とその実現困難性については、4月の異分野学生交流会などでも話題になりました。人環生に限らず、学外の方や社会人の方もこのテーマについて感じていることは共通しているのだなと再認識させられます。せめて京都アカデメイアがそのような機会をささやかに提供していければと考えていますが、そのためにはもっと動員力(集客力)が必要ですね!

会場からの質問

質問1)紹介文に地元での活動…とあるが?

→地元で青年団体(?)を立ち上げるなどの活動をしている。大学の研究室だけでなく、自分が所属するコミュニティを複数もっておくことは大事と思う。

質問2)他学部から人環に来た人間としては、学際研究がまだまだできていないと言っても、人環はだいぶマシと感じるが?

→他学部を学際研究という人環のモノサシで測っても仕方がない。他学部は専門的なモノサシで自分たちのパフォーマンスを測っているわけで、もしそれに人環が対抗したいなら自分たちのモノサシというものを用意しなければならない。

質問3)自分も将来自然科学系で院に進み、修士卒業後に企業への就職を考えているが、やはり自分の専門分野での就職は難しいのか?

→工学部などに比べると難しいと言わざるを得ない。もし専門分野で就職をしたいなら、とりあえず大学制度や先生には頼らず、自力で道を切り開くという覚悟が必要(それはかなり大変な道)。就活では専門知識で勝負するというよりも、基本的な専門技術や自分の考えを伝える能力などで勝負したほうがよいかも。

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