浅野です。
先日実施された2018年センター試験の地理Bでムーミンに関する問題が出されたと話題です。賛否両論があるようです。
ムーミン舞台のセンター試験設問に疑問 阪大研究室 :日本経済新聞
センター試験地理Bのムーミン問題は良問。実はムーミンの舞台の国を問う問題ではない:データイズム:オルタナティブ・ブログ
上記のリンクなどを参照すると、否定的な論調の根拠はムーミンの舞台がフィンランドだとは限らないということで、肯定的な論調の根拠は地理の問題として消去法で解くことができるということのようです。
ここではその議論そのものに立ち入らず、別の観点を提示します。
私がこの騒動を知ってから最初に感じたことは、これは文化資本の問題ではないかということです。本件に即して言うと、ムーミンに親しむ可能性の高い上流階級の家庭出身の受験生が不当に有利なのではないかという問題です。
この問題が地理の問題として消去法で解けるとしても、ムーミンに親しんでいる人が有利だということは否定できません。ムーミンといえばフィンランドという知識でも解けてしまうからです(繰り返しになりますが、本記事ではムーミンといえばフィンランドということの妥当性は論じません)。
そして、実証したわけではありませんが、上流階級のしっかりした家庭のほうがそうでない家庭と比べてムーミンに触れる可能性が高いのではないかと推測します。
もちろんそのようなことを言い出すときりがないのは承知しております。例えば同じ2018年の現代社会では世界遺産にからめて富士山・知床・屋久島が出題されたのでそれらの近くに住んでいる人が有利ではないか、古文や日本史では全体的に京都の人が有利ではないか、といった具合です。しかしこれらの例は明示的な出題範囲に含まれるのに対し、ムーミンは含まれないので、より不公平感が強いとは言えます。
同じアニメでも深夜の萌えアニメに関する出題はおよそ考えられないことからも、大学入試センター≒国家が特定の文化を優遇しているのではないかという問題にもつながります。
ただ、何を出題しても特定の文化と関係することは避けられませんし、無難な問題ばかりだとおもしろくもありません。この2018年センター試験の地理Bのムーミン問題は工夫が凝らされていておもしろい問題だとも感じました。
文化資本という切り口があるのだということが伝わればこの記事の目的は果たせたと言えます。