次回の京都アカデメイアゼミを担当させていただく舟木です。
日時は2月24日(土)15時30分〜 左京西部いきいき市民活動センターです。テーマは「アジールの現在と未来―網野善彦の「無縁」論をどう読むか?」です。
私の関心はアジール論ですが、こんどの発表では現代においてどのような領域や形態でアジールの形成が可能なのかについて、歴史家の網野善彦の無縁論の読解を通じて考えてみたいと思っています。網野はアジール現象の背後にある原理を「無縁の原理」と名付けましたが、現代社会においてそれがどのような形で発現するのかについては、言及することなく没しました。今度の発表では網野の著作『無縁・公界・楽』に残された言葉を手掛かりに、西洋の思想史で「自然法」の名の下に考察されてきたテーマが「無縁の原理」の発現形態に相当に重なることを確認し、そこから、自然法(権)の名のもとに実践される「市民的不服従」など、国家の「公」とは異なる水平軸の「公共性」を求める運動に、現代におけるアジール形成の可能性を探ってみたいと思います。
他方、「無縁」と「自然法」を単純に同一視することもできません。「自然権」を出発点として個人の基本権の思想を築いた西洋とは対照的に、日本では、個人が「世間」の圧力を常に意識し、これを「忖度」して日々の行動を調整することが今も求められます。ところが皮肉なことに、「世間」の語は、かつては「公界」(網野は、これが中世において「無縁」と同義で使われていたことを指摘しています)とほぼ交換可能であったらしいのです。ここから、日本人にとっての「世間」と公共性、および「世間」とアジールの関係などについても議論できれば、と思っています。皆さんバシバシ突っ込んでください。
どなたでも無料で参加可能ですので、関心ある方はぜひご参加ください。
<第4回京都アカデメイアゼミ>
テーマ: アジールの現在と未来―網野善彦の「無縁」論をどう読むか?
日時 : 2月24日(土)15時30分〜
場所 : 京都市左京西部いきいき市民活動センター
報告者:舟木徹男
※誰でも参加可、参加無料、予約不要
無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150))
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
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