GACCOH教養講座vol.001「寝ながら学べるアーレント」

 

百木です。
今回は京都アカデメイアのイベントではないのですが、告知をさせてください。
今週土曜日にGACCOHさんでアーレントについての入門講座を担当させて頂くことになりました。
昨年公開の映画などでも話題になった思想家ハンナ・アーレントについて、知識のない人でも分かりやすいように授業させて頂くつもりです。関心ある方がいらっしゃればぜひご参加ください。
今後も、このようなかたちで京都アカデメイアとGACCOHさんでコラボなどしつつ、京都を中心とした街場での学びの機会など広げていければいいなと考えております。よろしくお願いします。

◆GACCOH教養講座「寝ながら学べる」シリーズ第一弾
「寝ながら学べるアーレント」

日時:5月31日(土)19時~21時
場所:GACCOH (京阪出町柳駅から徒歩5分)
講師:百木漠(京都大学大学院)
参加費:1000円
参考文献:矢野久美子『ハンナ・アーレント――「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』(中公新書)

詳細・申し込みはこちらから。

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人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)


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新科目続々登場!

2014/05/07

京都アカデメイア塾の新科目続々更新中です。

入門科目に、「京都学派入門」
基礎科目に、「教科教育基礎」「カウンセリング基礎」
文献講読科目に、「西田幾多郎『善の研究』講読」「ドイツ語原書講読」
ゼミ科目に、「初期社会科特論」「時事ニュースと歴史」、が登場しました。

いずれも京都アカデメイアのメンバーが講師を担当します。

ぜひ入会をご検討ください。

お問い合わせお申し込みはお気軽にお電話、メールにどうぞ。

「京都アカデメイア塾」はじめました。

京都アカデメイアではこの4月から新しく「京都アカデメイア塾」をはじめました。

京都アカデメイア塾は「大人のための教養塾」です。
大学や学校を卒業したけれども、勉強を続けたい、改めて教養を学び直したい、という人のために京都アカデメイアのメンバーがマン・ツー・マンの授業を提供します。

これまで京都アカデメイアは無料でのイベントやインターネット放送を中心に活動してきましたが、それらのリクエストに応え、京都アカデメイアのメンバーが市井の人々にそれぞれがもっている知識や技術を分け与えるかたちで授業をおこなう塾を開いてはどうか、という話になりました。NPO法人京都アカデメイアとしては、これからも無料イベントを活動の軸としながら、副次的に「京都アカデメイア塾」も展開していければと考えています。無料か有料かという違いはありますが、どちらにしても、大学や学校の外での「学び」の機会を広げていきたいという思いは変わりません。京都アカデメイアのメンバー自身もまた、日々勉強や研究を続けている身ではありますが、「勉強をしたい・学びたい」という意欲をもった方に対して、われわれが何らかのかたちでお手伝いをできれば幸いです。

指導科目はこちら
京都アカデメイアらしく、多種多様な授業内容になっているかと思います。
できるだけ臨機応変に対応いたしますので、ご興味もたれた方はお気軽にご連絡ください。
受講料などはこちら

京都アカデメイア塾は固定したスペースを持っておりませんが、喫茶店、レンタルスペース、お家にお邪魔して、スカイプを通じてなど、柔軟なノマドスタイルで授業を行わせていただきます。そのぶん固定費がかからず、比較的に安価な授業料でのマン・ツー・マン授業を提供します。授業回数や授業の時間帯などにも臨機応変に対応します。京都アカデメイア塾の生徒を募集すると同時に、われわれ京都アカデメイア(塾)の理念に賛同し、ともに活動してくださる方、賛助してくださる方、講師に加わっていただける方も同時に募集をしておりますので、どうぞよろしくお願いします。関心をもたれた方はお気軽にご連絡ください。

(文責:百木)

批評鍋 放送しました

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4月26日(土)、第9回批評鍋を放送しました。
テーマ本は北条かや、『キャバ嬢の社会学』
キャバクラの社会調査ってどうやって行ったのか、プロであり素人でもあるキャバ嬢の魅力のヒミツから、キャバ嬢の観察から見えてくる現代日本の社会像まで、著者の北条かやさんに電話をお繋ぎしてこちらからの疑問質問にもお答えいただきました。

本番では放送機材のトラブルもあり、お聞き苦しい場面がございました。
近日中に当日の録画とテキストを公開する予定です。当ブログでもご案内しますので、ぜひご覧ください。

大窪善人

批評鍋 第9回 『キャバ嬢の社会学』 

大窪です。
4月26日(土)午後8時から批評鍋の放送が決定しました!
今回取り上げるのは、北条かやさんの 『キャバ嬢の社会学』です。

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著者の北条かやさんは、京都大学大学院 文学研究科出身で、本書は修士論文を書籍化した作品です。それまでキャバクラにはまったく縁がなかった著者が、自らキャバクラ嬢に扮し参与観察によって、キャバクラ嬢と彼女たちをとりまく世界の実態を独自の視点から明らかにするフィールド・ワークの記録です。

放送時間:2014年4月26日(土)午後8時~
ustアドレス 
http://www.ustream.tv/channel/kyoaca

今回は著者の北条さんがスカイプで特別出演します!

北条かや氏プロフィール: 著述家。1986年、石川県金沢市生まれ。「BLOGOS」はじめ複数のメディアに、社会系・経済系の記事を寄稿する。19歳の時、大澤真幸『身体の比較社会学〈1〉・〈2〉』を読み衝撃を受け、以後社会学に没頭。同志社大学社会学部を出たのち、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。キャバ嬢のことを「女を売りにする人たちであり、自分とは違う」と考えていたが、「差別してるだけなんじゃない?」という先輩の一言に心打たれ、一念発起。自らキャバクラで働き、調査を行った。同時期に始めたブログ「コスプレで女やってますけど」は、月間10万PVの人気を誇る。(http://ji-sedai.jp/ より)
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いつもどおりustreamでコメントも受付けます。
ぜひご覧ください。

京都アカデメイア塾開校!

2014/04/04

こんにちは、京都アカデメイア(京アカ)の大窪です。
この4月から京アカで塾を始めることになりました。その名もズバリ「京都アカデメイア塾」。そのままですね。でも、塾と言っても受験対策とか学習塾ではなく、大人のための「教養塾」です。では、学習塾と何が違うのか。

教養塾をつくるきっかけ

京アカでは毎月、公開の読書会やディスカッションイベントなどを開催していて、学生から主婦、年配の方まで参加いただいているのですが、イベントが終わったあとに参加者からこんな声をいただくことがありました。今日話し合った話題についてもっと詳しく知りたい、ぜひ教えてもらいたい、と。こちらとしては非常にありがたいのですが、うちは小さな団体だからボランティアでやるのはたいへんだ。また、実はこうしたニーズは他にもあるかもしれない。どうしよう、何かいい方法はないものか…。そこで行き着いた結論が塾をつくることでした。

先月何冊本を読みましたか

学校を卒業して一度社会に出てしまうとなかなか学問や教養を学ぶ機会はありません。他方で、知識の方はというと日進月歩でどんどん更新されています。「え、でも本を読めばいいじゃないの」と言われるかもしれません。たしかにその通りです。書店に行けばたくさんの本が売られています。しかし、それが意外と難しい。国が行ったある調査によれば、雑誌や漫画を除いて1ヶ月に一冊も本を読まないと答えている人は全体の半数近くに上るそうです。本を読むというのは思いのほか敷居が高い行為なのです。それが教養や古典となればなおさらです。

学び直しのチャンス

他方、最近高校の教科書を大人向けに編集した数学や歴史の本が人気を博しています。またマルクスやニーチェなどの古典を読みたいというニーズも高まっているようです。しかし、一人だけで読むというのはたいへんな気力を要します。専門的な部分はインターネットを見てもわからないとこがまだまだ多いです。京都アカデメイア塾では専門的な知識を持った講師陣が、入門から文献講読、論文の読み書きまで、丁寧にサポートいたします。学び直すなら今がチャンスです。

詳しくは当 京都アカデメイア塾 HPをご覧ください。
http://kyoto-academeia.sakura.ne.jp/wp/

イベント「大学改革、どうしてこうなった!?―「京大騒動」から見る大学のいま」のご報告

遅くなりましたが、先月に行ったイベント「大学改革、どうしてこうなった!?―「京大騒動」から見る大学のいま」のご報告です。

当日の参加者は約15名ほど。
京大生を中心に、他の大学の学生や社会人の方などさまざまな方にご参加いただきました。
まず主催者の安達・渡邉・百木から大学改革の現状や大学の歴史についてのプレゼンを行い(第一部)、その後に参加者全体でフリーディスカッション(第二部)、という段取りでした。前半のプレゼンも好評をいただき、後半の議論も活発に盛り上がって、良い雰囲気だったのではないかと思います。
初めてGACCOHさんのレンタルスペースでイベントをさせて頂いたのですが、あの場もそれぞれに活発に発言をしやすい雰囲気作りに合っていたのではと感じました。

プレゼンの内容についても簡単に紹介しておきます。
まず安達千李くんからは、ここ数年の京都大学の大学改革の進み方についてのプレゼンがありました。
国際高等教育院、思修館、教養科目の半数を英語化、5年間で外国人教員を100人雇用、大学入試改革(「意欲枠」の導入)、学域学系制度、など軽く列挙するだけでも、いま京都大学がかなり大がかりな大学改革を進めようとしていることが分かります。またそれぞれの改革について、反対の声も挙げられてきたことも指摘されていました。

つぎに渡邉浩一さんからは、ここ数十年間での文科省の大学改革方針を振り返るというプレゼンがありました。
教育基本法や学校教育法、大学設置基準など、大学にかんする法律関係の基礎知識についての解説があり、それを踏まえたうえで、大学の独立行政法人化後にどのように大学「改革」への圧力が強まってきたのか、という説明がありました。普段あまりこのような大学設置に関する法律などに触れる機会がなかったので、個人的にも勉強になりました。

最後に私、百木漠からは、中世ヨーロッパの大学発祥から近現代へといたる大学の変遷についてのプレゼンをしました。
吉見俊哉『大学とはなにか』(岩波新書)を手がかりにしながら、12~13世紀にヨーロッパで誕生した大学が16~17世紀にはいちど衰退期を迎えていたこと、それが19~20世紀にいおいて国民国家の勃興とともに再び隆盛期を迎えてきたこと、について説明しました。そのうえで、現代ではインターネットという新たなメディアの誕生とともに、もしかすると「第二の死」を迎えつつあるのではないか?という仮説を提示しました。

第二部のフリーディスカッションでは、「人物重視」の大学入試制度(AO入試)は許容しうるか否か、欧米の大学と日本の大学の違い、大学外での学びの可能性、今後の大学のあり方、などについて幅広く意見がでました。参加者全員がそれぞれの立場から発言をして、良い感じに盛り上がったように思います。
他方で、大学改革をめぐる議論はあまりに論点が多すぎて、やや議論が拡散してしまい、それぞれの論点を深堀りしていくのが難しいところもあるな、と感じました。とはいえ、議論に広がりが出るのは良いことで、今後もまた何からのかたちでこのような大学改革について考えるイベントを開催していきたいなと感じました。

GACCOHさんのご好意で、21時すぎにイベントが終了したのちは会場でそのまま懇親会に突入し、その後もそれぞれのグループで議論に花が咲いていました。大学の中ではなかなかこのように様々な年代や立場の人がひとつのテーマについて自由闊達に議論を交わすということは起こりにくいので、京都アカデメイアやGACCOHが協力して、今後もこのような議論と学びのための「場」を提供していけたら良いな、と改めて感じた次第です。

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アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論のまとめ

http://d.hatena.ne.jp/kyotoacademeia/20140318#1395146858で告知していたイベント、アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論を開催いたしました。そのまとめと議論の整理をしておきます。

プレゼンテーション資料

1.年齢別未婚率の推移
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図録▽未婚率の推移 (http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1540.html)より
* 日本の婚外子の割合は2%程度なので、事実婚の割合もそれほど多くないと考えられる2.未婚率上昇の原因
結婚へと向かわせる要因(伝統、生活上の必要性、価値観など)の減少
パラサイトシングル論
恋愛の自由化

3.婚活
少子化対策としての側面(赤川学vs山田昌弘)
婚活の種類…お見合い、知人の紹介、結婚相談所、サイト、合コン、自治体イベントなど

4.結婚の法的意義
人格的効果…同居義務、協力義務、扶助義務(生活保持義務)、貞操義務
財産上の効果…婚姻費用の分担、日常の家事に関する債務の連帯責任、夫婦別産制
その他の効果…相続、子の嫡出化、氏、姻族、成年擬制、生命侵害に対する慰謝料
離婚の方法…協議、調停・審判、裁判(民法770条の5つの理由)
離婚の効果…財産分与(清算、扶養、損害賠償)、子の扱い(親権者・監護者、面接交流、監護費用)

当日の議論のまとめ

    • 結婚したい? どちらでもよい? したくない?
    • 日本ではどうして事実婚が少ないの?
    • 結婚相手に求めるもの――子ども、収入、親密性、深い人間関係など
    • 男性に安定した収入がないと結婚に踏み切れない?
    • 婚活イベントの体験談――いろいろな人と話せるのはいいが、いきなり好きになるのはなかなか…
    • 婚活サイトは条件で絞りをかける一方で、文面から人柄を推測することもできる
    • 恋愛は結婚の前提?
    • 同じ人でも年齢を重ねるにつれて結婚観が変わる

 

補足

結婚と寿命の関係
当日の議論では未婚者のほうが長生きするという統計があるとの話が出ましたが、インターネットで検索しただけではその統計が見つけられず、むしろ未婚は寿命を縮めるというデータがありました。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1820.html

もし未婚が寿命を伸ばすという統計をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

女性の労働力率(M字カーブ)
現在ではM字型とは言えないほどになっています。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html

法律婚と事実婚の違い
意外かもしれませんが、法律や制度の上では事実婚にデメリットがほとんどありません。考えられるデメリットは以下の2つくらいです。
  • 所得税や住民税の配偶者控除を受けられない
  • 相続が認められない

もっとも、この2つについても、夫婦ともにそれなり(103万円あるいは141万円以上)の収入があればどのみち配偶者控除が受けられないので同じことですし、相続が認められなくても遺言で遺贈すればよいことです(相続ではなく遺贈になると相続税の計算で少し不利ですが、5000万円以下ならそもそも相続税が発生しません)。社会保険(健康保険や年金)は事実婚でも不利になりません。事実婚の証明は住民票で夫(未届)または妻(未届)とするそうです。事実婚のデメリットは各種の家族割引や病院での身元引受人になれるかどうか、ひいては世間の目といった、はっきりとした制度とは別のところにあります。

今月「生きている珈琲」でイベントします

アカデメイアカフェ 「草食系時代」の婚活論

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5人に1人が生涯結婚しない時代。
そもそも結婚しないといけないのか?
少子化、格差社会、おひとりさま、
バーチャル家族、シェアメイト・・・
これからの社会、個人のライフ・スタイルについて考えます。

昨今の「婚活」にまつわる問題から、結婚、家族の未来像までディスカッションします。

・プレゼンテーション:浅野直樹(京都アカデメイア)
日時:2014年3月28日(金)午後8時~9時半頃
・会場:生きている珈琲(京都市下京区立売東町 みやの四条ビルB1F,ジュンク堂書店京都店 東側スグ)
・参加方法 ドリンク一杯の注文で参加できます。途中入退出も自由です。当日 直接会場までお越しください。

・主催:協力:NPO法人京都アカデメイア
・協力:生きている珈琲

***
アカデメイアカフェとは?
アカデメイアカフェは、NPO法人京都アカデメイアが主催するディスカッション・イベントです。
予備知識は必要ありません。美味しい珈琲を飲みながら、みんなで議論しませんか? 前回参加していただいた方も初めての方も、ご都合の合う方はお気軽にご参加ください。
アカデメイアの活動についてはこちらをご覧ください。
***

次回イベント 〈大学改革、どうしてこうなった!?―「京大騒動」から見る大学のいま〉

百木です。
次回イベントのお知らせです。今回は「大学改革」について考えるイベントをやります。

ここ1~2年、京都大学を中心に「大学改革」の是非が話題になっています。
単純な反対論だけでなく、この「大学改革」問題をつうじて何が見えてくるのか、を幅広い視点からディスカッションできればと考えています。

今回は京アカ初のGACCOHさんのレンタルスペースをお借りしてのイベントになります。
大学生(京大生)以外の方でも、関心ある方はどなたでもご参加ください。
「大学」のあり方について、あるいは「大学」の外での学びについて、みんなで語り合いましょう。
みなさまのご参加をお待ちしております!

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大学改革、どうしてこうなった!?―「京大騒動」から見る大学のいま

【日時】 3月7日(金) 18:30-20:30

【場所】 GACCOH レンタルスペース http://www.gaccoh.jp/

※参加無料、ただし場所代としてひとり数百円程度のカンパを頂く予定です。
  参加希望者は事前に senriadachi<at>gmail.com (安達)までご連絡お願いします。

【内容】
18:30-あいさつ(百木)
18:40-(1) ローカルに見る大学:「京大騒動」この一年―思修館から総長選挙まで(安達)
19:00-(2)ナショナルに見る大学:文科省と国立大学の「絆」――法人化の前と後(渡邉)
19:20-(3) グローバルに見る大学:そもそも〈大学〉って?――大学の歴史を振り返る(百木)
19:40-質疑(司会:渡邉)
20:30 終了、希望者は親睦会あり

【告知文】

 京都大学構内を歩く…ふと目をとめれば工事現場。そういえば、ルネは去年新しく(狭く)なったし、吉田寮入口も工事用の壁で覆われています。建物・教室の名前も入学したころとは違っているらしい。

 目に見える変化だけではありません。思修館、国際高等教育院といった新しいしくみが、矢継ぎ早に出てきます。その都度、反対や皮肉の声も聞こえますが、結局ほぼすべて大学が決めたとおりに事が進んでいるようです。

 京大ばかりではなく、いますべての日本の大学が変わりつつあります。よく言われるのは次のようなこと。英語での授業を増やさなければならない。グローバル人材を作りださなければいけない。学生はコミュニケーション能力をつけなければならない。

 なぜ、これほどまで大学の不備が指摘され、休む間もなく制度が変わるのでしょうか。
 
 一つ目のレクチャーでは『「京大騒動」この一年』と題し、およそこの一年でおこった京大における大学改革をまとめます。さまざまな改革への疑問は松本総長に対する不満へと切り替わることも少なくありませんが、今回は「学生かくあるべき論」「総長の悪口」といったものではなく、改革と呼べる事実を淡々と追ってみることにしましょう。

 二つ目は、「文科省と国立大学の「絆」――法人化の前と後」と題し、大学を理解する上で見逃すことのできない文部科学省との接点を確認します。大学設置と評価、概算要求、人事などの点に触れながら、戦後から2004年の大学法人化にいたる数十年の流れを概観し、文科省およびその他の機関がいかに大学に関与しているのかを明らかにします。

 三つ目は「そもそも〈大学〉って?――大学の歴史を振り返る」。中世に成立した〈大学〉の歴史を大づかみに振り返りながら、現在、日本の大学が置かれている立ち位置を考えます。最近話題の「大学の外での学び」の可能性についても、希望・問題点双方の点から迫ります。

 (1)ローカル(2)ナショナル(3)グローバルという三つの空間的視点は、それぞれ(1)1~2年(2)数十年(3)数世紀という時間軸に対応します。三つの側面から大学のいまを追い、私たちの学びを問い直す二時間。

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大学とは何か (岩波新書)

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未来形の大学 [高等教育シリーズ] (高等教育シリーズ)

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古典を失った大学―近代性の危機と教養の行方

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大学教授という仕事

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