ありがとう創文社、そして学術出版の未来について

大窪善人

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トマス・アクイナス『神学大全』や『ハイデッガー全集』をはじめ、本格的な学術書を手がけるあの創文社が解散するということで、研究者や出版関係者の間で話題になっています。

学術書専門の創文社、売り上げ激減 20年めどに解散へ/朝日新聞

ちなみに、私が大学院に入学してはじめて買った本は創文社の『法社会学』(マックス・ウェーバー)で、たいへん勉強させていただきました。そのほか、人文社会科学系では盛山和夫『制度論の構図』や井上達夫『他者への自由』なんかがありますね(高くて手が出ませんでした)。

解散の理由は「売り上げの落ち込み」だそうですが、主な販売先だった大学図書館や公立図書館の経費削減が響いたのではないでしょうか。

最近もこんなニュースが。

大阪大学図書館の「悲しすぎる台所事情」 外国語学部なのに「中国語研究」「ロシア月報」など70冊購読中止/j-cast.com

業界全体の構造的な問題だとすれば、学術出版の未来はどうなるのでしょう。
他方で、こんな新しい動きもあるようです。

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21世紀に入ってから設立された大学出版会/出版部は、意外に多い。出版不況と言われて久しく、一方で、若年層の人口減少により、私学も独立法人となった国公立も経営の困難/危機が伝えられる中で、である。出版会/部の存在が大学のステイタスに幾分かは寄与する面があるのだろうが、学術出版の刊行が利益を上げて大学の経営に資するとは思えない。

英語圏だと、学術書の出版は大学の出版部が担当していることが多く、かつ、値段もバカ高いのですが、一方、日本だと岩波書店や有斐閣など、民間の出版社が分散的に担ってきたという歴史がありました。

だから、日本の学術出版における大学出版部のシェアは、意外に低い。[…] 戦後間もなく東京大学出版会が設立した時も、ある程度以上の年配の教員は[…]主要学術出版社とのつながりが強いこともあって、当初はなかなか原稿を提供してくれなかった、という。
[…]
学術書の著者の多くは大学の教員であり、読者の多くは学生である。大学は学術書の受け皿となる図書館を併設し、その周囲には神保町を代表とする書店街が形成された。そして、そうした持ちつ持たれつの関係にあるからこそ、危機もまた同時に訪れたのだ。

しかし、どんなに立派な内容の本でも、たんに「紙」とか「電子」の本というマテリアルや情報として存在しているだけではダメで、それを取り巻く豊富なカルチャーや様々な「出会い」が並行してなければ生き残っていけないのだと感じます。

ともあれ、創文社でほしいマニアックな本は、中古で高くなる前に確保しておいた方がいいですね。
というわけで先日買った本(定価がすでに高い・・・)。

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みなさんもお早めに!
 
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