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アークタンジェント公式

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数学のアークタンジェント公式をイラスト化し、PDFファイルにまとめました。
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イラストの見方

例を用いてイラストの見方を説明します。上図では、アークタンジェント公式「pi/4 = arctan(1/2) + arctan(1/3)」をイラスト化しました。緑色と青色の2つの直角三角形があり、原点においてそれらの2つの内角の合計が角度pi/4になっています。緑色の直角三角形がarctan(1/2)に, 青色の直角三角形がarctan(1/3)にそれぞれ対応しています。

他のイラストも同じようにアークタンジェント公式を表しています。複数の直角三角形があり、それらの内角の合計が数式の左辺と右辺の値に一致しています。

アークタンジェント公式はタンジェントの加法定理を用いて代数的に確認できます。しかし、イラスト化することで視覚的な証明ができました。いわゆるProof Without Wordsです。

作成: 藤原大樹
更新: 2020年9月19日

 

定規とコンパスによる作図

はじめに

定規とコンパスを用いて幾何学的な図形を作図しています。数学用ソフトウェアのGeogebraを用いて、作図手順をPDFファイルにまとめました。

おすすめの作図技法

作図技法の中で特におすすめなのは、線分を3等分する技法の方法4(3つの円と2本の直線)です。

線分を3等分する

線分ABを3等分します。AF = AB / 3の関係が成立します。

・方法1, 4つの円と2本の直線
参考文献: Sutton(2009)の図94
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・方法2, 2つの円と4本の直線
参考文献: Styer(2009), Nelsen(1993)の13ページ
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・方法3, 2つの円と3本の直線
参考文献: Styer(2009)
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・方法4, 3つの円と2本の直線
参考文献: Styer(2009)
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・方法5, 4つの円
参考文献: Styer(2009)
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・方法6, Mohr-Mascheroni
参考文献: Styer(2009)
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線分を5等分する

・方法1
参考文献: Sutton(2009)の図95
線分ABを5等分します。CD = AB / 5の関係が成立します。
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線分を8等分する

・方法1
参考文献: Sutton(2009)の図102
線分ABを8等分します。AF = AB / 8の関係が成立します。
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正5角形

・方法1, 近似手法
参考文献: Posamentier(2003)の5.13節
線分ABを1辺とする正5角形を近似的に作図します。
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参考文献

Nelsen, R. B. (1993). Proofs without words: exercises in visual thinking. Math. Assoc. of America.

Posamentier, A. S. (2003). Math wonders to inspire teachers and students. Association for Supervision and Curriculum Development.

Styer, R. (2009). Trisecting a Line Segment (With World Record Efficiency!). https://doi.org/10.4169/loci003342

Sutton, A. (2009). Ruler & compass: practical geometric constructions. Wooden.

作成: 藤原大樹
更新: 2020年8月19日

Pythonの文法

はじめに

プログラミング言語のPython(パイソン)を勉強しています。文法の中でややこしくて理解しずらいテーマが3点ありました。1点目はリストにおける代入とコピーの違い、2点目はミュータブルとイミュータブルの違い、3点目は浅いコピーと深いコピーの違いです。教科書の文章だけで理解しようとしても無理があるので、イラストでの説明を試みました。

3項目それぞれで、ソースコードは類似していてもプログラムの挙動は全く異なるという特徴があります。そこで、2つのソースコードを対比し、プログラムの挙動をイラストで表し、差異を明確にしました。イラストは、厳密なプログラムの挙動を表しているわけではありません。しかし、イラストとソースコードをじっくり見比べると、概要を把握できると思います。

ソースコードを読むときの注意点

Pythonにおいて、変数名はオブジェクトを指す名前です。変数はオブジェクトのデータを持たず、データのメモリ位置を持っています。したがって、ソースコードを読むとき、次の2点に注意する必要があります。1点目は、異なる変数名が同じオブジェクトを指す状況があることです。2点目は、ある変数を通してオブジェクトを変更すると、その影響が別の変数に出る場合と出ない場合の両方があることです。

オブジェクトはコンピュータのメモリ内に存在します。id(x)は、変数xが指すオブジェクトのメモリ位置を返します。メモリ位置は、オブジェクトがメモリ内のどの位置に存在するかを表す住所のようなものです。変数xとyに対して、id(x)とid(y)の値を比較することで、xとyが同じオブジェクトを指しているかいないかを判断できます。

リストにおける代入とコピー

「y = x」と「y = x[:]」は見た目が似ていますが、意味は全く異なります。代入文「y = x」の意味は、変数xが指すオブジェクトを変数yも指すようにするです。リストのコピー文「y = x[:]」の意味は、変数xが指すオブジェクトをコピーし、そのコピーされたオブジェクトをyが指すようにするです。

===== list_assign.py リストの代入 =====

===== list_assign.pyの出力 =====
===== list_copy.py リストのコピー =====

===== list_copy.pyの出力 =====

リストの代入(list_assign.py)
xとyは同じオブジェクトを指しています。x[2]を’cup’に変更すると、その影響がyに現れます。

リストのコピー(list_copy.py)
xの変更前からxとyは異なるオブジェクトを指しています。x[2]を’cup’に変更しても、yに影響しません。

ミュータブルとイミュータブル

オブジェクトの値を変更することが不可能なことを、イミュータブルといいます。イミュータブルなオブジェクトの例として、数値や文字列等があります。オブジェクトの値を変更することが許可されていることをミュータブルといいます。ミュータブルなオブジェクトの例として、リストや辞書型等があります。

===== mutable.py ミュータブル =====

===== mutable.pyの出力 =====
===== immutable.py イミュータブル =====

===== immutable.pyの出力 ====

ミュータブル(mutable.py)
リストはミュータブル(変更可能)です。 x[1]を変更しても、xとyは同じオブジェクトを指したままです。つまり、xを変更したことで、yに影響が出ます。

イミュータブル(immutable.py)
数値はイミュータブル(変更不能)です。xを変更すると、新しいオブジェクトが作成され、xはyと異なる新しいオブジェクトを指すようになります。つまり、xを変更しても、yに影響が出ません。

浅いコピーと深いコピー

浅いコピーと深いコピーはネスト構造のオブジェクトをコピーするときに重要になってきます。ネスト構造とは、リストの要素としてリストがあるなどの入れ子構造のことです。浅いコピーは、ネスト構造内の深さ1の浅い部分のみをコピーします。深いコピーは、ネスト構造の深い部分を含めたデータのすべてをコピーします。

リストの浅いコピーは、「y = x.copy()」,「y = list(x)」,「y = x[:]」,「y = x + []」, 「y = x * 1」で実現できます。一方、深いコピーは、copyモジュールを用いて「y = copy.deepcopy(x)」で実現できます。

===== shallow.py 浅いコピー =====

===== shallow.pyの出力 =====
===== deep.py 深いコピー =====

===== deep.pyの出力 =====

浅いコピー(shallow.py)
xとyで[2, 〇]の浅い部分はコピーされますが、[3, 4]の深い部分はコピーされません。そのため、x[0]の変更はyに影響しませんが、x[1]の変更はyに影響します。

深いコピー(deep.py)
xとyで[2, 〇]の浅い部分だけでなく、[3, 4]の深い部分もコピーされます。そのため、xを変更してもyに全く影響しません。

参考資料

喜多一著、プログラミング演習 Python 2019のPDFファイル
http://hdl.handle.net/2433/245698
本編の10.11節から10.13節まで及びコラム編の13.2節が参考になります。

作成: 藤原大樹
更新: 2020年7月3日

内田樹「コロナ後の世界」記事の論点整理

浅野直樹です。

 

コロナ後の世界 – 内田樹の研究室(以下「内田記事」)を昨日読み、政治学者が内田樹「コロナ後の世界」にマジ切れしてるので聞いてくれ: 内田樹が煽る4つのデマ|アイ・アラン|note(以下「アラン記事」)を今日読みました。

 

アラン記事が設定した枠組みに沿って論点整理をしてみます。

 

1. 「国際協力体制は中国が指導する」

内田記事の「習近平はこれから5年先10年先の地政学的地位を見越して行動している」というのが具体的にどういう内容を指しているのか、私には今ひとつピンときません。よって、ファクトであるともフェイクであるとも言えません。

 

内田記事の「これ以後の国際協力体制は中国が指導することになりかねない」はフェイクであるとアラン記事は主張しますが、「これ以後」という未来のことがフェイクであるかどうかは現時点ではわかりません。

 

内田さんの知り合いのイタリア人が「いま頼りになるのは中国だけだ」と言っていたということは十分にあり得ます。

 

「民主主義はひとりの声で決まるわけじゃない」というアラン記事の主張はもっともですが、そう主張することにより、永沢さんからの電話を記事の導入にしているアラン記事のレトリックが減殺されるようにも思われます。

 

2.「説得力のあるメッセージを発信するリーダーを模範とすべき」

アラン記事は「演説が上手いとリーダーは模範」がフェイクであると断じますが、「演説が上手いとリーダーは模範」つまり「リーダーは演説が上手であるべきだ」ということは、「〜べき」という当為であって、「〜である」という事実に適用するフェイクという判断がマッチしません。「リーダーは演説が上手であるべきかどうか」を問うことはできます。

 

アラン記事の「メルケルもボリス・ジョンソンも、話の内容はスピーチライターが考えてるの」という主張は、たぶんそうだろうなと私は想像します。

 

3.「政治家や役人は感染症用の医療準備を無駄だと思って、カットした」

アラン記事では「政治家や役人は感染症用の医療準備を無駄だと思ってカットした」がフェイクであると主張されていますが、元の内田記事では「『医療資源の効率的な活用』とか『病床稼働率の向上』とかいうことを医療の最優先課題だと思っている政治家や役人は感染症用の医療準備を無駄だと思って、カットします」となっています。

 

アラン記事は民主党政権を想定していますが、内田記事は一般論に読めるような書き方です。強いて言うなら、維新についてのアンケート – 内田樹の研究室という記事からすると、内田さんは大阪維新の会を想定しているのではないでしょうか。

 

4.「わずかな国富を少数の支配階層が排他的に独占する」

ここでの内田さんとアランさんの対立点は、「中間層」の内実をめぐるものです。内田さんが中間層だと見ているのは自営業者などの「旧中間層」であるのに対し、アランさんが中間層だと見ているのはサラリーマンと呼ばれるような「新中間層」です。小熊英二『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(講談社、2019)の分類を借りれば、内田さんが「地元型」で、アランさんが「大企業型」です。

 

 

そもそも、内田記事の問題提起は、少数者支配がいいのかそれとも多数者支配がよいのかという、プラトンの『国家』やアリストテレスの『政治学』以来論じられてきた政治学の大きなテーマを、このコロナをきっかけにして、改めて考えてみるということです。

 

 

 

無料の学術書 数学とコンピュータサイエンスを中心として

はじめに

インターネット上で無料で公開されている学術書をまとめました。分野は数学とコンピュータサイエンスが中心です。このリンク集では、著者や出版社自らが内容を公開している公式ホームページを選定しました。個人使用の限りでは著作権の侵害にはならないので、安心して下さい。

なぜ学術書がインターネット上で無料で読めるのか? その理由は、「オープンアクセス」による出版です。オープンアクセスとは、学術情報をインターネットを通じて誰もが無料で閲覧可能な状態にすることです。(参考サイト[1] ) 個人や研究機関にとって学術論文・学術書が高価すぎるという問題を改善し、多くの人が学術情報を利用できるようにするため、オープンアクセスによる出版が推進されています。

参考サイト
[1] Eriko Amano, 学術書のオープンアクセスを考える

学術書のリンク集

書名: The Elements of Statistical Learning: Data Mining, Inference, and Prediction, Second Edition
著者: Trevor Hastie, Robert Tibshirani, Jerome Friedman
出版社: Springer; 2nd edition (2016)
公式HP
ダウンロード
分野: 機械学習

書名: Understanding Machine Learning: From Theory to Algorithms
著者: Shai Shalev-Shwartz, Shai Ben-David
出版社: Cambridge University Press; 1 edition (May 19, 2014)
公式HP
ダウンロード
分野: 機械学習

書名: Mathematics for Machine Learning
著者: Marc Peter Deisenroth, A. Aldo Faisal, and Cheng Soon Ong
出版社: Cambridge University Press (April 23, 2020)
公式HP
ダウンロード
分野: 機械学習

書名: Geometry in Figures
著者: A. V. Akopyan
出版社: CreateSpace Independent Publishing Platform (August 1, 2011)
公式HP
ダウンロード
分野: 平面幾何学
コメント: first editionのみダウンロード可能.

書名: Discrete Choice Methods with Simulation
著者: Kenneth E. Train
出版社: Cambridge University Press; 2 edition (June 30, 2009)
公式HP
ダウンロード
分野: 経済学

書名: Automate the Boring Stuff with Python, 2nd Edition: Practical Programming for Total Beginners
著者: Al Sweigart
出版社: No Starch Press; 2 edition (November 12, 2019)
公式HP
分野: プログラミング言語のPython


書名: Elementary Number Theory: Primes, Congruences, and Secrets: A Computational Approach
著者: William Stein
出版社: Springer; 2009 edition (December 3, 2008)
公式HP
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分野: 初等整数論

書名: Introduction to Applied Linear Algebra: Vectors, Matrices, and Least Squares
著者: Stephen Boyd & Lieven Vandenberghe
出版社: Cambridge University Press; 1 edition (August 23, 2018)
公式HP
ダウンロード
分野: 線形代数とその応用

合計8冊を紹介しました。

作成: 藤原大樹
更新: 2020年4月18日

話題の本がわかる! Vol.03 『ヤンキーと地元』振り返り

 

6月29日、京都・左京西部いきいき市民活動センターにて「話題の本がわかる! 」イベント第3回を開催いたしました!

話題の本の要約を紹介し、「気になっていたけどまだ読んでいない人」にも参加してもらえるというこの企画、今回は、今年刊行された打越正行さんの『ヤンキーと地元』(筑摩書房、2019)を取りあげました!

打越さんは、「暴走族のパシリ」として参与観察を始めた社会学者。本書は、沖縄の若者たちの取材から、その生活世界を記述した労作です。

「ヤンキー」といえば、京アカではかつて斎藤環さんの『ヤンキー化する日本』を「批評鍋」イベントで取りあげています。しかし、「バッドセンス」や「ノリと気合い」といった「ヤンキー」的文化に焦点を当てた斎藤本とは、今回はまた全然異なる切り口。「ヤンキー」といえば家族や仲間の絆を尊ぶイメージをもたれることがありますし、沖縄という土地もまた「ゆいまーる」の語に象徴されるようなユートピア的イメージをもたれがちですが、本書では、沖縄の若者たちにとってたしかに切り捨てがたい地盤でありながら、けっしてユートピアでもなく優しいものでもない「地元」の世界が明らかにされていきます。

 

要約担当は村田。要約といっても、個々のエピソードや具体的な記述が面白い本であるのでなかなか難しかったのですが、雨にもかかわらず皆さん集まっていただき(新規の参加者も!)、議論(や雑談)が弾みました。本の具体的なエピソードについての談義、参与観察という方法についての談義、「本書がこれほど話題になったのはなぜなのか?」「ヤンキー論として、また沖縄論として、どの点が新鮮な発見であるのか?」という話、などなど。

当イベントは続く予定であるので、参加者のみならず、要約担当も引き続き募集中です! 気になっている本を読んでみる機会とするのもよいかと思います。

私もこの機会に、ずっと気になっていた本が読めてよかったです。レジュメを作るにあたっては、関連本も読み直したり新たに読んだりしました。新たに読んだものとしては、特に、暴走族の参与観察として有名な『暴走族のエスノグラフィ』(佐藤郁哉、新曜社、1984)が面白かったです。若者の金銭的・時間的豊かさという観点から暴走族を分析しているくだりは、80年代当時と現代との違いを思うなどしました。

 

 

 

 

【お詫び】問い合わせフォームの不具合を修正しました

京都アカデメイア及び京都アカデメイア塾 – 大人のための教養塾の問い合わせフォームの双方に不具合が発生したことを本日確認し、修正しました。

不具合が生じている間にお問い合わせいただいた方がいらっしゃいましたら大変申し訳ございませんでした。そのお問い合わせ内容を読むことができておらず、返信もできていませんでした。

今は復旧しています。

また、kyotoacademeia□gmail.com(□に@を入れてください)に直接お送りいただいたメールは、ずっと読むことができていました。

この度は問い合わせフォームの不具合によりご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

 

【告知】 第6回 京アカゼミ「今こそ廣松渉を読み返す」開催!

京都アカデメイアの会員が、毎回、自身の研究テーマについて発表するイベント「京アカゼミ」。第6回は、「今こそ廣松渉を読み返す」。昨年『廣松渉の思想』を刊行された、渡辺恭彦さんが担当します。廣松渉の思想について易しくお話いただく予定です。関心ある方はどなたでもご参加ください。

[amazon_asin num=4622086816]

 

日時:2019年2月24日(日)15時〜17時

場所:京都市左京西部いきいき市民活動センター会議室4
※参加無料・予約不要

報告者紹介:渡辺恭彦(わたなべ やすひこ)
1983年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在 奈良女子大学非常勤講師。思想史専攻。

書評:週刊読書人ウェブ(評者:小林 昌人)

本企画に関するお問い合わせ等については、お問い合わせフォームまたはkyotoacademeia□gmail.com(□に@を入れてください) までお尋ねください。

これまでの内容はこちら
第5回 ハンナ・アーレント入門/百木漠
第4回 アジールの現在と未来/舟木徹男
第3回 別れはなぜ在るのか:『別れの社会学』序説(あるいはその構想)/中森弘樹
第2回 精神分析から見る現代の知のあり方/浅野直樹
第1回 瀬木比呂志の裁判学:いわゆる「絶望の裁判所」論をめぐって/岡室悠介

最近の読書会

超おひさしぶりです、村田です。ブログを書くのは以前に聖書読書会の話を書いて以来かもしれません……。何してたんやという感じでありますが、最近やっと、その読書会が一段落しました。

 

聖書についてほぼ知識のない者たちが集まっていた聖書読書会、新約の福音書に始まり、黙示録を読んだり、ルターに寄り道したり、旧約も読んでみたり……と、途中詳しい人が参加してくれたりもしつつ、参加者の興味の赴くまま色々読みました。

 

とりわけ興味深かったのは旧約の「ヨブ記」でした。神様、というと一般に、いいことしたらご加護をくれて悪いことしたら罰を与える、みたいな存在としてイメージされていると思いますが、そうした因果を超えた神の概念が分かりました。(あと個人的には、ヨブの友達の冷たさが興味深かったです。わけもわからずひどい目に遭っているヨブに、「いや、お前がなんか悪いことしたからとちゃうんか?」みたいなことを言う役回りなのですが、理不尽な目に遭ってる人へのこうした反応って現代でもリアルだなあ……と。)

 

で、ここから、ユングに『ヨブへの答え』という著作があるのでそれを読んでみよう、ということになったのですが、寄り道のつもりで読み始めたらばこれが難物で、一年くらいかけて読み終えたのでした。ユダヤ・キリスト教についての知識と、ユングの思想についての理解、どちらもたいしてなかったので、皆で「こういうことかな?」「こういう意味ちゃう?」とああだこうだ言いながら読み、終盤でようやく、ユングが、核の時代(※執筆されたのは第二次大戦後)において人間は己の持つ力にどう対峙すべきか、という問題意識で以てこれを書いたらしい、という意図がみえてきたのでした。

 

さて今は、聖書に続く「有名だけど読んでない/一人で読みづらいものを読む」シリーズとして、源氏物語読書会が続行中です。毎回いろんな現代語訳で、ときどき原文も参照しつつ、読んでいます。まだ源氏は17歳、空蝉、六条御息所、夕顔、といろんな女性たちと出会い始める頃です。現代であれば明らかにクズ男と呼ばれるであろう言動に毎回呆れつつ、「現代の価値観ではこうだけど、当時はどう受容されたのだろう」と話し合ったりしています。毎回参加者から、思いも寄らんかった視点を教えられるのも面白いところ。文化人類学者・レヴィ=ストロースが源氏論を書いているらしく(知らなかった!)、その解釈によると、源氏が書かれた時代は価値観の転換期でありそれが物語に反映されているのでは?とか。また、あまりにも初歩的なことにハッとしたりとか。(当たり前だけど「ああ、当時は電気がないんだなあ」とか……古典を読んでいると、ついつい現代の感覚で読んでしまっている自分に気づきます。)

京アカMLに登録されている方には読書会案内を流していますが、毎回直前の案内だったり、開催場所が京都だったり大阪だったり、変な時間の開催だったりと、気になっていながら参加しづらい、という方がおられるのでないかと思います、すみません。気楽な勉強会ですのでもし都合がつけばふらりといらしてください。