いよいよ自宅の本棚がいっぱいになってきたので、年明けにスペース削減を見込んでkindleを購入しました。
私が持っている本はほとんどが研究に使うもの。
なので、今回はAmazon.comの電子書籍&端末が研究用途として役に立つのか紹介したいと思います。
きっかけは「ほしい本が出てこない」
本の収納方法、みなさんはどうされているでしょうか?
増えることはあっても減ることはなかなかないのではないでしょうか。
とくに研究書・専門書は図書館に置いていなかったり、すぐに手に入れておかないと品切れになることも多いので、どうしても買わざるをえない場合があります。
そうこうしているうちに、未分類のものや棚に戻し損ねたもの、買って袋から出していない本などでいっぱいに・・・
この中に一冊、探している本がある(はず)・・・
こうなると、本を読むより探している時間の方が長くなって、研究をはじめる前に疲れてしまいそうです。
電子書籍のメリット
使ってみて快適なのは、なんといっても置き場所を取らないこと。
さらに、購入した本のデータはネットワーク上に保存されているので、ネットに接続したkindleやスマートフォン、パソコンがあればいつでも読み込んでアクセスすることができます。ほしい本をストアからすぐに購入して読めるのも非常に便利です。
そのほかにも、本文検索機能はとても役に立つ機能だと思います。また、電子書籍には「品切れ」の概念がないので、紙で手に入りにくいものでも購入することができます。学生や研究者にとってはありがたいです。
写真は池上彰さんの「戦後史の学び方」講義。
ディスプレイは電子ペーパーなので視認性・携帯性はバッチリです。バッテリーの持ちも良好。また、ページめくりも片手で操作できるので電車やバスの中でも楽に読書ができました。
アカデミック用途としてはここがダメ
読書用の端末としては非常に便利なkindleですが、やはり学習・研究用途として見るといろいろと不自由な点がー
主なところで、
①ページ番号がわからない
研究用途としては致命的な難点だと思います。kindle版にはページ番号が振られていません。代わりに今読んでいる位置をパーセンテージと位置番号で示してありますが、引用して典拠を示す際には一々紙媒体でページを確認する必要があります。また、フォントのサイズを変えると文章のレイアウトも変わるので輪読にも不向き。
②画面が小さすぎる
現在発売されているkindle電子書籍リーダー(Kindle、Kindle Paperwhite、Kindle Voyageの3機種)はいずれもディスプレイ・サイズが6インチ。文庫本サイズで携帯には便利ですが、机に座って使うには画面が小さすぎます。
多くの学生や研究者は机の上に本とノート、あるいはパソコンを置いて作業するので、たとえば、端末のディスプレイは折りたたみ2画面のA4サイズで、見開き表示ができるくらいがちょうどいいのではないでしょうか。電子書籍専用ではありませんが、サイズ的には大きめのタブレットパソコンの方が使いやすいかもしれません。
③書き込みの自由度が高くない
kindleにはマーカーで線を引いたり、メモを付ける機能がありますがアカデミック用ではないのでできることは限定的です。例えば、スタイラスペンが付けばアイデアのイメージを書きとめたり、直観的な書き込みもできるでしょう。
④専門書のラインアップがまだまだ少ない
英語の専門書はかなり充実していますが、日本語のものになるとまだまだ点数が少ないように思います。
ところで、基本的に専門書というのは限られた人しか買わないのだから、いっそ思い切って、主には電子版で廉価販売してしまって、一方、図書館や研究室向けには革張りの高級版を出すというので上手く成り立たないかと思うのですがいかがでしょう?
その他、ページの行き来は、紙の方が小回りが効いて、直感的で優れていると感じます。マテリアルな部分での情報量は、今のところ紙媒体が上手のようです。
とりあえずの結論は―
3ヶ月ほど使ってみた私の感想としては、kindleはアカデミック用途での本格的な読書にはあまり向いていないというのがとりあえずの結論です。
たしかに、スペースの節約とか品切れになった本が手軽に読めたり、強力な検索機能は便利なのですが…。しかし、雑誌ジャーナルや新書、ちょっとした読み物であれば今発売されているkindleでも十分活用できるのではないかと思います。
ともあれ、当分部屋は片付かなさそうです…。
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字の大きさを変えることができるし、いつでも呼び出せるので私も関心を持っていました。しかし書名で検索するとAmazonが出て電子書籍はありませんと出るので、躊躇していました。人文系の学術書はあまりなく、洋書でもないことが多いので、どうなんだろうと思っていたとき、詳しく教えてもらえてよかった。ありがとう。