哲学とは何なのか?
昨年出版された本、『いま世界の哲学者が考えていること』にはこう書かれています。
「哲学」という言葉を聞いて、皆さんはどのような学問だと思われるでしょうか? この問いに対して、日本ではおそらく、「人生論」をイメージする人が多いのではないでしょうか。「人生とは何ぞや?」とか、「いかに生くべきか?」といった問題を考えるのが、哲学というわけです。
日本で哲学書といえば京都学派 西田幾多郎の『善の研究』(1911年)でしょう。たいへん難解な哲学書ですが、なんとたちまちベストセラーに!
その理由は、大正期・終戦後の激動する社会で”どう生きればよいのか”という問いにたいする答えを、多くの人が求めていたからです。
また、最近だと『超訳 ニーチェの言葉』(白取春彦著)やアドラー心理学の『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著)も人文書の棚を賑わせています。
もちろん、哲学は自己啓発だけではないし、『人を動かす』(D・カーネギー)のような「仕事に役立つスキル」が、大学の哲学科で教えているわけではありません。
それはともあれ、日本で哲学は「自己啓発」の要素と強く結びついて浸透してきました。
超・自己啓発
ところで、最近ビジネス書、啓発書の売れ行きが芳しくないようです。
京都大学の鎌田浩毅氏はその理由について、社会状況の変化を指摘します。
社会の成長局面では”がんばろう”という人々のやる気も上がる一方、停滞期には個々人の意欲も下がってしまいます。
また、多くの自己啓発書は平時のノウハウを教えるので、従来のルールが通用しない状況には対応できません。
鎌田氏はそんな想定外の出来事に対応する方法を「超・自己啓発」と呼びます。
たとえば、自分の体の癖を意識して無意識に働きかける「体癖」。あるいは、仏教やキリスト教の教えをヒントにしたビジネス書もよく読まれています。
いまここから見えるゴールではなく、”ここではないどこか”へ。
そこに自己啓発や人生論を超えて、哲学的に考えるチャンスもあるのではないでしょうか。
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