来年度卒業する大学生・院生の就職活動が山場を迎えています。
志望動機や自己PRで就職先にどうアピールするか、多くの就活生にとって悩みどころだと思います。
最近の「実用志向」の教育政策もあって、「大学の勉強(とくに文系)なんか仕事の役に立たない!」という声が大きくなってきています。
地方大学の強化「明治以来の改革に着手する」安倍首相/朝日新聞17.05.31
では、実際のところどうなのでしょうか?
大学ジャーナリストの石渡氏によれば、じつは企業の担当者も実利優先の風潮にはうんざりしています。
採用担当者がかなり強調するようになってきたのが、[…]「大学の勉強は就活でも役に立たない。それよりは実利的なものを優先すべき」の否定です。何人かの意見をご紹介しましょう。[…]
「どうせ志望動機や自己PRを聞いたところで、アルバイトやサークルで活躍した、という話ばかり。いや、それはそれで全否定しないけど、大学時代に勉強をしなかったというのは大卒者を採用する意味がない。だからここ数年は、自己PRなどはすっ飛ばして、あえて大学の勉強のことを聞くようにしている。」(機械)
「大学の勉強をちゃんとやっていない、ということはそれだけ本も読んでいないし、文章を書く訓練も積んでいない。実際、難関大でも文章はグチャグチャで誤字脱字だらけという学生が多い。そういうのを採用したいと思うわけがない」(食品)[…]
「資格とか語学とか、面接対策だかエントリーシートの書き方講座だか知らないが、そういうのに気を使うくらいなら、大学の勉強、それから学生生活。そこをちゃんとした方がはるかにマシ」(金融)[…]
就活において実利的なもの、面接やエントリーシート、マナーなどの対策講座を一生懸命に利用したところで、それは、過去の就活でうまくいった例を説明しているにすぎません。似たような答えを学生が面接で話したところで、採用担当者は「また同じ答えか」とうんざりするだけ。
私も、企業の担当者を招いた大学の講演や研究会で「学生時代、どれだけ勉強に取り組んできたかを評価します」という率直な声を耳にします。
企業側の立場で考えれば理由がわかります。
採用は”同じ職場の仲間”を見つけることだからです。
あなたは、仕事に必要な能力もさることながら、「一緒に仕事したいと思う魅力があるかどうか」が見られているわけです。
魅力のある人というのは不思議と教養やセンスを持っているものです。
そして、その魅力は自分で磨いていくことができるのです。
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