カテゴリー別アーカイブ: おすすめの本

ニーチェ『喜ばしき知恵』:ポスト・トゥルー時代の「真理」とは?

大窪善人


喜ばしき知恵 (河出文庫)
フリードリヒ・ニーチェ
河出書房新社(2012-10-04)

 

知性が厖大な時間を費やして生み出したのは、誤謬以外の何ものでもない。[…]そうしたものに思い至った者、あるいはそれを遺産として継承した者は、生存競争において有利となり、首尾よく後継者を育てることができた。

ニーチェ『喜ばしき知恵』

去年は、アメリカ大統領選やブレグジットでの虚偽ニュース問題に見られるように、人々の感情的な訴えが世界を席巻し、「ポスト・トゥルー」が時代の言葉となりました。
続きを読む

中沢新一『ポケモンの神話学』:拡張現実の時代へ

大窪善人

2016年、日本中、世界中を席巻した携帯ゲームアプリ『ポケモンGO』。今年の夏は街中のいたるところで『ポケモンGO』で遊ぶ人たちを目にしました。ですが、このゲームがなぜこれほど大ヒットを巻き起こしたのかは、いまなお謎のままです。

たしかに、「ポケモン」はかねてから日本を代表する人気コンテンツだったわけですが、『ポケモンGO』自体は『Ingress』というゲームの既存技術の応用に過ぎません。にもかかわらず、これほどのムーブメントを巻き起こした理由は何なのか。

本書『ポケットの中の野生』(1997年)改題『ポケモンの神話学』にその謎を解くヒントを探してみましょう。
続きを読む

ヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義』:グローバル化の時代は終わったのか?

大窪善人


時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか
ヴォルフガング・シュトレーク
みすず書房(2016-02-20)

 
トランプ次期大統領が早くもTPP離脱を宣言し波紋を広げています。今年6月の英国のEU離脱表明以来、世界中で反グローバル化の動きが広がっているさなか。今や「グローバル化」は時代遅れなものになったのでしょうか? 

ヴォルフガング・シュトレークは「イエス」と答えます。

朝日新聞にインタビューが掲載されていますが、おもしろいのは、彼がトランプ現象や「ブレグジット」を単なるポピュリズムではないと言っていることです。
続きを読む

太田省一『芸人最強社会ニッポン』:面白ければ何でもOK?

大窪善人


芸人最強社会ニッポン (朝日新書)
太田 省一
朝日新聞出版(2016-08-10)

 
気がつけば、どのテレビ番組も芸人・タレントだらけ。バラエティーはもちろんお堅い教養・情報番組まで、十数年前までは考えられないほど芸人の露出が増えています。なぜこれほど芸人が重宝されるようになったのでしょうか。
続きを読む

古市憲寿『古市くん、社会学を学び直しなさい!!』

大窪善人


 
いまだかつて、これほど社会学についてざっくばらんに語った本があっただろうか。

この本は『絶望の国の幸福な若者たち』以来、メディアで広く活躍し、また話題にこと欠かない「社会学者」古市憲寿氏がナビゲーターとなり、12人の著名な社会学者に対し正面から疑問をぶつけていきます。

続きを読む

橋爪大三郎・大澤真幸ほか『社会学講義』:社会学とは何なのか?

大窪善人


社会学講義 (ちくま新書)
橋爪 大三郎
筑摩書房(2016-09-06)

 
この本は、別冊宝島から出ていた『わかりたいあなたのための社会学・入門』(1993年)のリニューアル版で、社会学を初心者向けに解説したものです。元は20年以上前の本ですが、驚くほど内容が古くなっておらず、入門書にぴったりです。
続きを読む

さやわか『キャラの思考法』:アニメ『氷菓』に「いまここ」を生きる現代的方法を見出す

大窪善人


 
先週末、岐阜県高山市に行ってきました。
同市は、米澤穂信氏の小説「〈古典部〉シリーズ」のアニメの舞台になったところです。飛騨の小京都とも呼ばれる高山は、古い町並みを残す、とても美しくのんびりとしたところでした。
続きを読む

黒田宏治『榮久庵憲司とデザインの世界』:世界を荘厳する思想

大窪善人


 
榮久庵憲司という人をご存知でしょうか。
名前を知らなくても、榮久庵氏の作品はきっと見たことがあるはずです。

キッコーマンの「しょうゆ卓上びん」や秋田新幹線「こまち」、ヤマハのピアノ、オートバイ、それから、東京都のシンボルマークやコスモ石油やミニストップのロゴマークも栄久庵氏がデザインしたものです。

この本は、2015年に亡くなった氏を悼んで静岡文化芸術大学で開かられた公開講座を書籍化したものです。
続きを読む

北田暁大・白井聡・五野井郁夫『リベラル再起動のために』:「すべてをなしにする」衝動にどう抗うか?

大窪善人


リベラル再起動のために
北田 暁大
毎日新聞出版(2016-06-14)

 

リベラルの元気がない。 前回の参院選でも民進党をはじめとする左派勢力は、結局、与党を切り崩すことができませんでした。

本書は、社会学者で、与党・自民党に対抗して政策提言を行う「リベラル懇話会」でメイン・スタッフを務める北田暁大氏、政治学の立場から近年のデモについて積極的に論じている五野井郁夫氏、そして、レーニン論や『永続敗戦論』の著者で、左翼中の左翼、白井聡氏による鼎談。発売は選挙前ですが、今なお刺激的な内容です。
続きを読む