おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

マンフレッド・キューン『カント伝』:じつはオシャレだったカント先生

大窪善人


カント伝

春風社(2024年03月01日)

 
カントと言えば、『純粋理性批判』をはじめとした重厚な仕事をはじめ、科学論、美学、政治哲学、宗教論など、今なお影響力のある知の巨人です。
しかし、そんな彼も、はじめから偉大な哲学者であったわけではありません。

本書はカントの伝記。この本を読めば、激動の歴史との格闘から紡ぎ出されるスリリングな思索、権威化される以前の、新鮮なカント像が浮かび上がってきます。
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河合雅司『未来の年表』:見たくない現実を見る

大窪善人




(1970年01月01日)

 

戦争や災害による破局が、突然降りかかる突発事だとすれば、もう一つは、静かにじわじわと忍びよるタイプの破局です。

本書は、人口の減少傾向を原因として、近い将来生じる社会的影響のシミュレーションで、20XX年に何が起こるのか、データにもとづいて論じられています。
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岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』:ポスト・トゥルースと現代思想

大窪善人




(1970年01月01日)

 

トランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言しましたが、その理由は「地球温暖化はでっち上げだ」というもの。毎度おなじみの”トランプ節”です。

トランプ節といえば、大統領就任式の際、写真では明らかにオバマのときの方が多く集まっている聴衆の数を「過去最大」と評し、事実を伝えるメディアを「嘘つき」と罵倒した件が衝撃的でした。
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石渡嶺司『大学の思い出は就活です(苦笑)』:勉強は役に立たないのか?

大窪善人


 
来年度卒業する大学生・院生の就職活動が山場を迎えています。

志望動機や自己PRで就職先にどうアピールするか、多くの就活生にとって悩みどころだと思います。
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トッド・マガウアン『クリストファー・ノーランの嘘』:真実を知ろうとしない欲望

大窪善人


クリストファー・ノーランの噓 : 思想で読む映画論

フィルムアート社(2017年07月19日)

 
本書は、『インセプション』『バットマン ビギンズ』などで知られるノーランの本格的な批評集です。
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木谷美咲『官能植物』:美と快楽への誘い

大窪善人


官能植物

NHK出版(2017年07月04日)

 
いつから人は花を愛でるようになったのでしょう。
なぜ人はこれほど花の美しさに惹かれるのでしょうか?

本書は花と植物のフォト・エッセイ。
ですが中見がちょっと変わっています。
キーワードは「官能」。
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