書評・レビュー」カテゴリーアーカイブ

トッド・マガウアン『クリストファー・ノーランの嘘』:真実を知ろうとしない欲望

大窪善人


クリストファー・ノーランの噓 : 思想で読む映画論

フィルムアート社(2017年07月19日)

 
本書は、『インセプション』『バットマン ビギンズ』などで知られるノーランの本格的な批評集です。
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哲学とは? その3:思考とは未来への贈り物

大窪善人

「感謝」という言葉ほど美しく、かつ胡散臭いものもないでしょう。

ハイデガーが「思考=感謝」と語るとき、そこで何が意図されていたのかが重要です。

なぜ考えることは感謝することなのか?

誰に感謝するのか…?
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木谷美咲『官能植物』:美と快楽への誘い

大窪善人


官能植物

NHK出版(2017年07月04日)

 
いつから人は花を愛でるようになったのでしょう。
なぜ人はこれほど花の美しさに惹かれるのでしょうか?

本書は花と植物のフォト・エッセイ。
ですが中見がちょっと変わっています。
キーワードは「官能」。
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永遠平和のために(番外編):立憲主義から法の支配へ


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大窪善人




(1970年01月01日)

 
日本国憲法が施行されて今年で70年を迎えました。その一方で、政府は、とくに9条、安全保障の観点から憲法改正につよい意欲を示しています。

ところで、2年ほど前に京都アカデメイアの読書会で『憲法の条件』(大澤真幸・木村草太の共著)を取り上げたときに、「本書はなぜ「立憲主義」ではなく「法の支配」の問題を論じるのか」ということが話題になりました。当時の憲法論議の中心はもっぱら「立憲主義の危機」でした。

しかし、いまこの一見抽象的な「法の支配」が非常にアクチュアルなテーマになりつつあるのではないでしょうか。
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永遠平和のために ⑧:『けものフレンズ』で読み解く

大窪善人

今から222年前にカントが構想した永遠平和への途方。しかし、21世紀になった現在も、その目的地ははるか彼方のままです。

前回はカントより前の時代、ホッブズの社会契約論を検討しました。ホッブズの難点は、「恐怖」と「力」によって人々をまとめ上げるのが正しいと決めつけてしまっていることでした。

もちろん、そこには彼が生きた時代的な制約があります。では、それとはことなる、現代に通用する平和論とはどのようなものでしょうか。アニメ『けものフレンズ』が格好のヒントを与えてくれます。
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