永遠平和のために:平和か死か

大窪善人


 
今回から何度かに分けて「平和」について書いていきたいと思います。

タイトルの「永遠平和のために」とは、今からおよそ220年前に出版された本の名前です。著者は哲学者であるイマヌエル・カントです。

1795年に書かれたこの本は、ある皮肉からはじまります。いわく、「永遠の平和」には二つあると。ひとつは、「広大な墓地の下での永遠の眠り」として。しかし、もう一つは、「人間が暴力と戦争について考え直し、新たな世界を切り開いたとき」であると。

永遠平和というと、何かおよそ実現不可能な夢物語のように思われるかもしれません。ですが、じつはカントも、当時のヨーロッパの状況を睨みながら、きわめて現実的な構想を提案していたのです。

もちろん、200年以上前のアイデアが、そのまま現代に当てはまるわけではありません。当時は国民国家が生まれつつある時代で、今日のように個人や企業が国を越えてグローバルな影響力を持つことなど、到底考えられていませんでした。

だから、カントをはじめ哲学・思想、あるいは宗教的なイマジネーションにヒントを求めつつも、それらをどう鍛え直すのかを、考えていくことが重要です。

今すぐに具体的な答えが出せる問題ではないでしょうが、何がしか手がかりとなるようなラフ・スケッチを示すことができればと思っています。”平和か死か”、私たちがもし前向きに考えるならば、どちらを選ぶべきかは明らかであるはずだからです。