書評・レビュー」カテゴリーアーカイブ

永遠平和のために ③:なぜ国家だけが戦争できるのか?

大窪善人


リヴァイアサン1

岩波書店(2023年02月15日)

 
平和について考える連続企画。

前回は、戦争を「正当な暴力行使」として捉えてみました。
今回は戦争と国家の関係について考えてみましょう。
今日、戦争を行えるのは国家だけです。なぜでしょうか。
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黒田宏治『榮久庵憲司とデザインの世界』:世界を荘厳する思想

大窪善人


榮久庵憲司とデザインの世界

美学出版(2016年05月20日)

 
榮久庵憲司という人をご存知でしょうか。
名前を知らなくても、榮久庵氏の作品はきっと見たことがあるはずです。

キッコーマンの「しょうゆ卓上びん」や秋田新幹線「こまち」、ヤマハのピアノ、オートバイ、それから、東京都のシンボルマークやコスモ石油やミニストップのロゴマークも栄久庵氏がデザインしたものです。

この本は、2015年に亡くなった氏を悼んで静岡文化芸術大学で開かられた公開講座を書籍化したものです。
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ありがとう創文社、そして学術出版の未来について

大窪善人




(1970年01月01日)

 
トマス・アクイナス『神学大全』や『ハイデッガー全集』をはじめ、本格的な学術書を手がけるあの創文社が解散するということで、研究者や出版関係者の間で話題になっています。
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なぜ若者は結婚しなくなったのか?(前編)

大窪善人

素材加工用

生涯未婚率の推移(男女別)/男女共同参画白書 平成25年版

近年結婚しない若者が増えているといいます。生涯未婚率の推移をみると、1995年には男・女でそれぞれ9.0%、5.1%だった値が、2010年には20.1%、10.6%とわずか15年のあいだに倍増しています。では、その理由はいったい何なのでしょうか?
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北田暁大・白井聡・五野井郁夫『リベラル再起動のために』:「すべてをなしにする」衝動にどう抗うか?

大窪善人


リベラル再起動のために

毎日新聞出版(2016年08月01日)

 

リベラルの元気がない。 前回の参院選でも民進党をはじめとする左派勢力は、結局、与党を切り崩すことができませんでした。

本書は、社会学者で、与党・自民党に対抗して政策提言を行う「リベラル懇話会」でメイン・スタッフを務める北田暁大氏、政治学の立場から近年のデモについて積極的に論じている五野井郁夫氏、そして、レーニン論や『永続敗戦論』の著者で、左翼中の左翼、白井聡氏による鼎談。発売は選挙前ですが、今なお刺激的な内容です。
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小川勝『東京オリンピック』:大義なき五輪にしないためには

大窪善人


 
リオオリンピックが無事閉会し、いよいよ関心は2020年の東京オリンピックへ向かいつつあります。しかし、その一方で、新国立競技場の問題や公式エンブレム問題、裏金疑惑など、東京五輪の暗いニュースが次々と明るみになりました。なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
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見田宗介『宮沢賢治』:「銀河鉄道」はどこに行くのか?

大窪善人


宮沢賢治 : 存在の祭りの中へ

岩波書店(2023年01月05日)

 

夏になると観たくなる映画や、読みたくなる小説があります。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』もそのひとつです。「ケンタウル祭」「プリオシン海岸」「サウザンクロス」… 幻想的なイメージや寓話的なエピソードが、碁石のように散りばめられているみたいで、気に入っています。

しかし、賢治の作品が多くの人を惹きつけるのは、どうしてなのでしょうか?
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