書評・レビュー」カテゴリーアーカイブ

北田暁大・白井聡・五野井郁夫『リベラル再起動のために』:「すべてをなしにする」衝動にどう抗うか?

大窪善人


リベラル再起動のために

毎日新聞出版(2016年08月01日)

 

リベラルの元気がない。 前回の参院選でも民進党をはじめとする左派勢力は、結局、与党を切り崩すことができませんでした。

本書は、社会学者で、与党・自民党に対抗して政策提言を行う「リベラル懇話会」でメイン・スタッフを務める北田暁大氏、政治学の立場から近年のデモについて積極的に論じている五野井郁夫氏、そして、レーニン論や『永続敗戦論』の著者で、左翼中の左翼、白井聡氏による鼎談。発売は選挙前ですが、今なお刺激的な内容です。
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小川勝『東京オリンピック』:大義なき五輪にしないためには

大窪善人


 
リオオリンピックが無事閉会し、いよいよ関心は2020年の東京オリンピックへ向かいつつあります。しかし、その一方で、新国立競技場の問題や公式エンブレム問題、裏金疑惑など、東京五輪の暗いニュースが次々と明るみになりました。なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
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見田宗介『宮沢賢治』:「銀河鉄道」はどこに行くのか?

大窪善人


宮沢賢治 : 存在の祭りの中へ

岩波書店(2023年01月05日)

 

夏になると観たくなる映画や、読みたくなる小説があります。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』もそのひとつです。「ケンタウル祭」「プリオシン海岸」「サウザンクロス」… 幻想的なイメージや寓話的なエピソードが、碁石のように散りばめられているみたいで、気に入っています。

しかし、賢治の作品が多くの人を惹きつけるのは、どうしてなのでしょうか?
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映画「シン・ゴジラ」:破局と救済のアンビギュイティ

大窪善人

20151210061352
 

映画「シン・ゴジラ」を鑑賞してきました。
感想を一言でいうと、ゴジラがとても怖かった!

しかし、では何が怖かったのでしょうか?
劇場で感じたこの感覚を、書き留めておこうと思います。

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堀内進之介 『感情で釣られる人々』:カモられないための戦略とは?

大窪善人


 
ポケモンGOと都知事選

先日日本でも配信が始まったスマートフォン・ゲームアプリ「ポケモンGO」。またたくまに社会現象を巻き起こしており、22日のニューヨーク・タイムズによると、配信初日だけで国内で1000万人の人がアプリをダウンロードしたといいます。東京に住んでいる人のほとんどがポケモンで遊んでいる、と喩えると規模の大きさがわかります。

都知事選の候補も、ポケモンGOの影響力を無視できなかったようです。ある候補者は街頭で、「ポケモンを探しに外に出たついでに(?)投票にも行ってほしい」と呼びかけたほど。完全に話題をポケモンに持って行かれた格好です。
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