カテゴリー別アーカイブ: レビュー

嘘は恥だが役に立つ:思考のトレーニング

大窪善人

 
まずはこちらの絵をご覧ください。

中央に描かれているのは若い男女。テーブルには瓶や果物。男性の右手は女性の顎に添えられ、彼女の手には花束のようなものが見える。なんとなく色っぽいシーンです。
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永遠平和のために ⑨:海賊は人類の友か敵か?

大窪善人


 

約二世紀前にカントが夢見た永遠平和。それがたんなる夢想ではなく、いかにして実現可能かを考えるのが、この連載の目的です。

前回(第8回)では、アニメ『けものフレンズ』を通して、”絶対に調和できない敵(絶対的な敵)をも受容する秩序”をつくり上げることこそが永遠平和である、という見通しを得たのでした。

だが、それはいかにして可能なのでしょうか。
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「シルバー民主主義時代のポスト福祉国家」読書会の感想:12頭目のラクダの返還をめぐって

大窪善人

 
昨日は、大阪で「シルバー民主主義時代のポスト福祉国家」読書会に参加しました。
読書会では、以前、京アカの読書会にお呼びしたこともある 吉良貴之さん(法哲学)が話題提供者となり、お互いほぼ初対面の10名の方々と、充実した議論を交わしました。
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なぜ若者はインスタグラムに夢中なのか?

大窪善人

インスタグラムとは、スマートフォンで撮影した写真をSNSで共有するアプリ。若者を中心に人気が爆発し、「フォトジェニック」や「インスタ映え」なるワードも生まれました。
どちらも見栄えの美しさを表現する言葉ですが、たんに”上手く撮れた”というのとは、少し事情が違うようです。
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なぜ暴力はいけないのか:ウェーバーから考える

大窪善人


 
ジャズ・トランペット奏者 日野皓正氏の体罰事件が連日話題です。

体罰は是か非か。
事件については詳細がわからないので確たることは言えませんが、近年も学校での体罰を苦にした生徒の自殺は後を絶ちません。
その背景には、世間の根強い「体罰容認」の風潮があるように思います。 続きを読む

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』:なずなと典道はどこへ行ったのか?

大窪善人

本作は、映画監督 岩井俊二の出世作となった同名の実写作品をもとにしたアニメ―ションです。じつは私は、今回のアニメ化の話を知ってから、鑑賞を楽しみにしていました。

優れた原作とはいえ、放映されたのは今から20年以上前。そんなに古い作品をわざわざ引っ張り出してくるからには、たんに原作をなぞるだけではない、きっと大きな驚きがあるはずだ、と。結果は、期待以上でした。
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お盆なので宗教について考えてみた

大窪善人

お盆とは先祖の冥福を祈る日本の伝統行事。精霊棚を作って供物をしたり、お墓参り、盆踊り、送り火を焚いて霊を迎えます。

割り箸を挿したキュウリやナスを動物に見立てた「精霊馬」は季節の風物詩ですね。
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右の強さと左の弱さ

大窪善人


 

みなさんは鏡を見てふと不思議に思うことはないでしょうか。
鏡に映った像はなぜ左右逆なのか」と。
 
もし鏡像が全体として反転する性質なら、左右だけでなく上下も逆になるはずです。しかし、ふだん私たちが目にするのは左右だけが反転した像です。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
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哲学とは? その7:「関係の絶対性」とは何か?

大窪善人


マチウ書試論 転向論 (講談社文芸文庫)
吉本隆明
講談社(1990-10-10)

 
哲学者の加藤尚武氏によれば、社会の転換期において活躍するのは、”それまでの自分の思想を変えなかった人”です。

明治の思想をリードした福沢諭吉、戦後の政治学者 丸山真男、厳しい取り調べにも耐え抜いた共産党員たち… かれらは己の信念を貫いて尊敬を集めたわけです。

とすれば、その例外にあたる人物とは吉本隆明でしょう。

なぜ吉本はあの決定的な「転向」にもかかわらず、戦後を代表する思想家たりえたのでしょうか? 彼の「関係の絶対性」なる概念がヒントです。
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