書評・レビュー」カテゴリーアーカイブ

電子書籍はアカデミック用途に使えるのか? Kindle Paperwhiteを3ヶ月間使ってみた結果

大窪善人
 

いよいよ自宅の本棚がいっぱいになってきたので、年明けにスペース削減を見込んでkindleを購入しました。

kindle

Kindle Paperwhite

私が持っている本はほとんどが研究に使うもの。
なので、今回はAmazon.comの電子書籍&端末が研究用途として役に立つのか紹介したいと思います。

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【リポート】KUNILABO開校記念イベント「いま、人文学を学ぶ」

大窪善人
 
koukaido

人文学の学校「KUNILABO」が今春よりスタートする。
KUNILABO(クニラボ)とは、東京 国立市を拠点に、だれもが人文学を学べる場所をつくろうという試みです。

その開校記念イベントが開かれるということで、イベント会場の吉祥寺 武蔵野公会堂へ行ってきました。

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北条かや『本当は結婚したくないのだ症候群』の書評をアップしました

浅野です。

 

2016年は毎月新刊本の書評をアップできたらなと思っています。1月の新刊本からは、北条かや『本当は結婚したくないのだ症候群』を選びました。どこまで理解できたか甚だ心もとないのですが、がんばって書いたので、よろしければ以下のリンク先から読んでみてください。

 

京都アカデメイア書評:本当は結婚したくないのだ症候群

カール・シュミット『パルチザンの理論』:「正しい戦争」はあるのか?

大窪善人
 


パルチザンの理論

筑摩書房(2025年01月27日)

 

人類の歴史は、戦争の歴史であるとも言われます。では、「戦争」とは何なのか。どんな戦争もそれ自体”悪”なのか。それとも、戦争には”正しい戦争”と”間違った戦争”とがあるのか…。

本書は、ドイツの憲法学者・政治学者であるシュミットの書(1963年)です。パルチザンという新しい戦闘形態の考察を通じて、戦争観の歴史的な変遷が浮かび上がってきます。

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新装開店した丸善 京都本店に行ってきました

大窪善人
 

先日21日に、10年ぶりにオープンした丸善 京都本店に行ってきました。

京都における丸善は、1872年(明治5年)に「京都支店(丸屋善吉店)」として開設され、その後一度閉店した後、1907年(明治40年)に三条通麩屋町に再開設されました。

http://www.junkudo.co.jp/mj/news/detail.php?news_id=77

丸善は、梶井基次郎の小説にも登場することで有名で、2005年に閉店した時には、小説の内容にちなんでお客さんが”レモン”を置いていったそうです。

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末木文美士『反・仏教学―仏教VS.倫理』:仏教から社会倫理は導けない?

大窪善人
 


反・仏教学 : 仏教vs.倫理

筑摩書房(2013年04月03日)

 

先日の記事でも紹介しましたが、宗教者や宗教団体が、原発や憲法などの、公共的な問題について発言する機会が増えてきているような印象を受けます。

たとえば、
九州電力川内原子力発電所の再稼動に関する声明-いのちは生きる場所を失っては生きられない/東本願寺

公明党の支持母体である創価学会でも政治的な声が高まっているということで大きなニュースになりました。

公明党“板挟み” 首相の70年談話で創価学会「安保反対」が加速/日刊ゲンダイ

さて、さしあたりこのエントリで考えたいことは、それぞれの政治的な争点の中身ではなくて(それぞれの立場からさまざまな意見があると思います)、宗教者や団体が公共的な意見を表明することの意味についてです。

宗教者はときとして、市民というよりむしろ”宗教者”として公共圏に現れることがあります。その場合、彼(女)は、自分が持っている宗教心や信仰にもとづいた意見を求められることになります。そこでポイントになるのは、宗教的な信仰から、それぞれのテーマに対する”主張”と”理由”を提示できるかどうか、です。

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小林正弥・藤丸智雄『本願寺白熱教室-お坊さんは社会で何をするのか?』:公共圏に対する宗教の力

大窪善人
 


 
“お寺版” 白熱教室

お寺や仏教のポピュラーなイメージといえば、お葬式や年末の除夜の鐘、あるいは仏像などの美術品なのではないでしょうか。

他方で、社会や政治のような公共的な問題にはあまりタッチしないという印象もあります。

この本は、2013年に京都 本願寺で開催されたイベントとテーマごとの論考をまとめたものです。他の白熱教室と違う特徴は、議論の参加者のほとんどが僧侶だということです。

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佐藤卓己『八月十五日の神話』:お盆とラジオと玉音放送

大窪善人


 
ある友人がこんなことを言いました。

「8月15日の終戦の日がお盆の日と一致してるって出来過ぎじゃないか。」

たしかに、あらためて言われてみると不思議な感じもします。
本書はメディア史研究の視点からその謎を解き明かしています。
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中山元『フーコー入門』:「美容整形は何が問題なのか」問題に迫る

大窪善人
 




(1970年01月01日)

 
北条かやさんの『整形した女は幸せになっているのか』を取り上げた先日の「批評鍋」では、参加者から「美容整形は何が問題なのか」という疑問が共通して出されました。つまり、一人ひとりが自分の意思で望んで整形しているなら、そこには何も問題ないのではないか、ということです。では美容整形はOKなのか。

しかし、ここにはもう一段深い問いが含まれているように思われます。それを理解するには、フーコーの議論が手がかりになります。

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下重暁子『家族という病』:なぜ家族は病なのか?

大窪善人
 

 
下重暁子さんの『家族という病』が売れている。発売1ヶ月で7刷りだといいます。
この本は、作家・エッセイスト、元テレビ・アナウンサーである著者が、一人称で家族について綴った内容になっています。内容的にはとくに奇抜な見方や主張が書かれているわけではないと思うのですが、にもかかわらず多くの人をひきつけているのはなぜでしょうか。
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