おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

カール・シュミット『パルチザンの理論』:「正しい戦争」はあるのか?

大窪善人
 


パルチザンの理論

筑摩書房(1996年03月27日)

 

人類の歴史は、戦争の歴史であるとも言われます。では、「戦争」とは何なのか。どんな戦争もそれ自体”悪”なのか。それとも、戦争には”正しい戦争”と”間違った戦争”とがあるのか…。

本書は、ドイツの憲法学者・政治学者であるシュミットの書(1963年)です。パルチザンという新しい戦闘形態の考察を通じて、戦争観の歴史的な変遷が浮かび上がってきます。

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末木文美士『反・仏教学―仏教VS.倫理』:仏教から社会倫理は導けない?

大窪善人
 


反・仏教学 : 仏教vs.倫理

筑摩書房(2013年04月03日)

 

先日の記事でも紹介しましたが、宗教者や宗教団体が、原発や憲法などの、公共的な問題について発言する機会が増えてきているような印象を受けます。

たとえば、
九州電力川内原子力発電所の再稼動に関する声明-いのちは生きる場所を失っては生きられない/東本願寺

公明党の支持母体である創価学会でも政治的な声が高まっているということで大きなニュースになりました。

公明党“板挟み” 首相の70年談話で創価学会「安保反対」が加速/日刊ゲンダイ

さて、さしあたりこのエントリで考えたいことは、それぞれの政治的な争点の中身ではなくて(それぞれの立場からさまざまな意見があると思います)、宗教者や団体が公共的な意見を表明することの意味についてです。

宗教者はときとして、市民というよりむしろ”宗教者”として公共圏に現れることがあります。その場合、彼(女)は、自分が持っている宗教心や信仰にもとづいた意見を求められることになります。そこでポイントになるのは、宗教的な信仰から、それぞれのテーマに対する”主張”と”理由”を提示できるかどうか、です。

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小林正弥・藤丸智雄『本願寺白熱教室-お坊さんは社会で何をするのか?』:公共圏に対する宗教の力

大窪善人
 


 
“お寺版” 白熱教室

お寺や仏教のポピュラーなイメージといえば、お葬式や年末の除夜の鐘、あるいは仏像などの美術品なのではないでしょうか。

他方で、社会や政治のような公共的な問題にはあまりタッチしないという印象もあります。

この本は、2013年に京都 本願寺で開催されたイベントとテーマごとの論考をまとめたものです。他の白熱教室と違う特徴は、議論の参加者のほとんどが僧侶だということです。

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佐藤卓己『八月十五日の神話』:お盆とラジオと玉音放送

大窪善人


 
ある友人がこんなことを言いました。

「8月15日の終戦の日がお盆の日と一致してるって出来過ぎじゃないか。」

たしかに、あらためて言われてみると不思議な感じもします。
本書はメディア史研究の視点からその謎を解き明かしています。
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中山元『フーコー入門』:「美容整形は何が問題なのか」問題に迫る

大窪善人
 




(1970年01月01日)

 
北条かやさんの『整形した女は幸せになっているのか』を取り上げた先日の「批評鍋」では、参加者から「美容整形は何が問題なのか」という疑問が共通して出されました。つまり、一人ひとりが自分の意思で望んで整形しているなら、そこには何も問題ないのではないか、ということです。では美容整形はOKなのか。

しかし、ここにはもう一段深い問いが含まれているように思われます。それを理解するには、フーコーの議論が手がかりになります。

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下重暁子『家族という病』:なぜ家族は病なのか?

大窪善人
 

 
下重暁子さんの『家族という病』が売れている。発売1ヶ月で7刷りだといいます。
この本は、作家・エッセイスト、元テレビ・アナウンサーである著者が、一人称で家族について綴った内容になっています。内容的にはとくに奇抜な見方や主張が書かれているわけではないと思うのですが、にもかかわらず多くの人をひきつけているのはなぜでしょうか。
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基礎から学ぶ、社会学の名著・定番本をアップします

大窪善人

<最新版アップしました>
社会学入門書 2017年アップデート版

ゴールデンウィークも終わって大学の授業もいよいよ本題に入ってきたところですね。
今回は社会学の必読本や役に立つ本をあげていこうと思います。

 


よくわかる社会学

ミネルヴァ書房(2024年06月13日)

「やわらかアカデミズム・〈わかる〉」シリーズの社会学の巻。見開き1ページで1つのトピックを説明していて、週刊誌サイズの本で楽しく学べます。
社会学についての基本的な解説から、家族、地域、メディア、アイデンティティなどの各分野についてまとめられいるので、社会学の大づかみのイメージを得るのに最適です。 続きを読む

御子柴善之『自分で考える勇気 カント哲学入門』:私たちは束縛がなければ「自由」なのか?

大窪善人


 

カントは有名な哲学者なので読んだ人も多いと思いますが、いきなり『純粋理性批判』から読み始めると挫折必至です。かなり難しい。やっぱり、入門的位置づけの『プロレゴーメナ』とか『道徳形而上学原論』から始めるのが無難でしょうか…。

さて、この本は、「岩波ジュニア新書」という中高生向けのシリーズなのでとてもやさしい内容になっています。しかし、だからといって内容が疎かになるということはなく、専門家の手によりとても丁寧に書かれています。
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梶村啓二『「東京物語」と小津安二郎』:家族とは何か? 現実と理想のあいだ

大窪善人


 
家族とは何か?

優れた芸術作品は、その時代を知るのにとても参考になります。
日本を代表する映画監督 小津安二郎の「東京物語」(1953年)は”家族”をテーマにした映画です。最近、山田洋次監督によってリメイクされたので、そちらを見て知った人も多いかもしれません。
本書はその「東京物語」を丁寧に分析したものです。
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研究者、大学院生必見! 京大の異分野融合パンフレットがすごい

大窪善人

CPIER(京都大学 学際融合教育研究推進センター)が素敵なパンフレットを発行されています。

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大学の刊行物というと、”地味で面白みに欠く”というイメージがありますが、こちらの冊子は一味違います。
オール・フルカラーでとてもポップな仕様になっていて、パラパラとページをめくっているだけでも楽しくなってきます。カフェの本棚なんかに置いてあっても全然違和感ないです。 続きを読む